ゲーム業界 各メーカーの動き・戦略は?

2015年01月04日 18:37

画・【2015年展望】ゲーム業界 各メーカーの動き・戦略は?

画像は2015年2月にスクウェア・エニックスから発売予定の『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』(Play Station 4)。ドラクエ10年振りのプレステ作品ということもあり話題を呼んでいる。他にも各社から続々と15年発売予定の目玉作品が発表されている。

 2014年は、13年からのスマホゲームの隆盛が続き、ミクシィ<2121>の『モンスターストライク(略称:モンスト)』が、ガンホー・オンラインエンタテイメント<3765>の『パズル&ドラゴンズ(略称:パズドラ)』に迫る大ヒットとなった。家庭用ゲームでは、何と言ってもレベルファイブ社の『妖怪ウォッチ』(ニンテンドー3DS)シリーズの大ヒットがトピックだろう。ハードではソニー<6758>の『Play Station 4』が世界的なヒットとなった。15年ゲーム業界はどうなるのか、その展望を各メーカーの動きからまとめてみた。

 まず、任天堂<7974>。14年は家庭用ハード『Wii U』の苦戦が続き、なかなか赤字脱却ができなかった。14年の年末商戦には、ヒットシリーズ『大乱闘スマッシュブラザーズ』(Wii U)を投入し巻き返しを図っている。15年の目玉ソフトとしては、人気RPGシリーズ最新作『Xenoblade X(ゼノブレイドクロス)』(Wii U)などが発売予定となっている。

 任天堂の動きでソフト戦略以外に気になるのが、スマホゲームへの距離だ。任天堂は「課金制度で射幸心を煽るスマホゲームのやり方には賛同できない」という姿勢で、スマホゲームへは参入していない。しかし大手ソフトメーカーの多くがスマホゲームへも参入する中、今後任天堂がこうした姿勢を貫くかどうかは、15年も注目すべきだろう。

 続いてはソニー。『Play Station 4』が発売1年足らずで全世界1000万台以上の大ヒットとなり好調だが、早くも次の市場を見据えている。上海自由貿易試験特区で14年振りにゲーム機販売が解禁されたことを受け、15年1月11日より『Play Station 4』と携帯型ハード『Play Station Vita』を中国で販売開始する。日本企業ではいち早い参入で、他企業をリードしている。

 一方、ソフトメーカー各社は、家庭用ゲームの商品だけでなくスマホゲームへの参入も重要な戦略となってきている。カプコン<9697>は大ヒットシリーズ『モンスターハンター』のスマホ版を15年に配信すると発表。スマホ版を通しユーザー拡大を目指すとしている。

 スクウェア・エニックス<9684>もスマホゲーム配信に積極的だ。14年秋には『ファイナルファンタジー・レコードキーパー』を配信。わずか3週間で200万ダウンロードとなった。また、同社は15年2月に『ドラゴンクエストヒーローズ 闇竜と世界樹の城』(Play Station 4)という目玉ソフトを用意している。ドラクエ10年振りのプレステ作品ということで大ヒットが予想されている。

 スマホゲーム業界は、しばらくはパズドラのガンホーと、モンストのミクシィの二大天下が続くだろう。しかし、パズドラはすでに世界3000万ダウンロードを越え、新規ユーザー獲得が難しくなってきている。モンストも早晩その壁に当たるだろう。スマホゲームは飽きられると、簡単に別のゲームに取って代わられてしまう。13、14年は右肩上がりの年だったが、15年は淘汰の年になる可能性も高い。

 業界全体の15年のポイントは、1つは家庭用ゲームとスマホゲームの境目がどう変わっていくかだろう。その意味で、カプコンの『モンスターハンター』スマホ配信は、両方のユーザーで相乗効果を上げられるか試金石になるのではないだろうか。

 もう1つのポイントは中国市場だ。ソニーに続いて任天堂も参入を検討している。また、パズドラのガンホー、モンストのミクシィも中国企業と提携し、中国での配信を開始する。巨大な中国市場に対するゲームメーカーの動きにも注目していきたい。(編集担当:久保田雄城)