タブレットを使った知育教育などが進む現代において、まさに今の幼児たちは「デジタル・ネイティブ」そのものだ。一方で気になるのは、タブレット、スマートフォン、パソコン等のデジタル・デバイスが幼児の脳や性格形成に与える影響についてである
生まれた時からデジタル・デバイスが身近にある子どもたち。タブレットを使った知育教育などが進む現代において、まさに今の幼児たちは「デジタル・ネイティブ」そのものだ。一方で気になるのは、タブレット、スマートフォン、パソコン等のデジタル・デバイスが幼児の脳や性格形成に与える影響についてである。これまで幼児や子供に対して、テレビやゲームが及ぼす影響に関してはある程度の研究が進んでいるが、デジタル・デバイスに関する研究はまだ進んでいない。
そうした中、NPO 法人 e-Lunch(以下、イーランチ)は、1歳から6歳の幼児の保護者1,158人を対象に「幼児のスマートフォン・タブレット利用調査」(期間:2014年9月10日から9月30日)を実施した。その結果、「保護者のスマートフォンやタブレット利用時間が増えると、子どものスマホを利用する時間も増える」、「保護者の利用習慣は子どもの利用習慣に直接的に影響している」と結論づけた。
またこの調査によれば、「62%の家庭がスマホを利用するときのルールを定めている」一方で、「約50%の家庭では子どもが利用するスマホにウイルス対策やフィルタリングなどの安全対策を施していない」ことも判明。この調査結果を踏まえ、イーランチでは今後、「保護者を対象に家庭でのルールづくりや、セキュリティ対策の啓発活動にさらに力を入れて取り組んでいく」とした。
では、親のスマホ使用時間がどう、子どもに影響を与えているのかを見てみよう。
調査対象となった保護者1,158人のうち、スマホを週2日以上利用する習慣は、1歳児では18.2%だが、2歳児ではその倍以上の47.4%になった。親の1日のスマホ利用時間がゼロの場合は、69.2%の子どもが利用時間ゼロなのに対し、親が15分利用している場合は、利用時間ゼロの子どもは16.1%減少し、53.1%となった。
親の1日のスマホ利用時間が30分の場合、利用時間ゼロの子どもは31.2%に減少。また、32.5%の子どもが親と同じ30分、またはそれ以上の時間スマホを利用しているという。
幼児のスマホ利用の目的は、「どの年齢でも写真や動画を撮ったり見たりという使い方が多くを占める」という。また、「1日2時間以上利用している子どもに絞ると、動画を見たりゲームで遊んだりするという回答が多くなり、子どもが単独でスマホを使い続けている様子が推察できる」とイーランチは分析する。
スマホ利用時のルールに関しては、「本調査では、62%の家庭がスマホを利用するときのルールを定めている」とした。これは今年2月に内閣府が発表した「平成25年度 青少年のインターネット利用環境実態調査結果」での、「満10歳から満17歳までの青少年の家庭でルールを定めているのは67%」という結果にも近い数字だ。このことから「子どもの年齢に関わらず、親は子どもにスマホを利用させるときには、何らかのルールを設ける必要性を認識している」とイーランチは分析する。
一方で、「本調査では約50%の保護者が、子どもたちに手渡すスマホにウイルス対策やフィルタリングなどを施していない」ことが判明。「保護者が気づかぬうちに子どもが課金サービスやクレジット決済を利用する事例も増えている」(国民生活センター情報)ことから、「早急に安全対策を取る必要がある」とイーランチは警鐘を鳴らす。(編集:久保田雄城)