中国のGDPが日本を抜き、世界第2位となったのも記憶に新しいが、2014年4月に世界銀行は、中国の経済力が14年中にアメリカを追い越すとの見通しを発表している。今回中国が世界一となるのは、GDPではなく購買力平価(PPP)による試算とのこと。
中国のGDPが日本を抜き、世界第2位となったのも記憶に新しいが、2014年4月に世界銀行は、中国の経済力が14年中にアメリカを追い越すとの見通しを発表している。今回中国が世界一となるのは、GDPではなく購買力平価(PPP)による試算とのこと。購買力平価とはあまりなじみのない指標だが、いったい何が世界一になり、どのような影響があるのだろうか。
購買力平価とは、貿易に全く障害がないならば、国が異なっても、同じ製品の価格は一つであるという「一物一価の法則」に基づいて購買力を算出した値のことである。これでは何のことかわからない人もいるだろう。わかりやすく説明すると、各国の通貨は違っていても、あるものが1個しか買えない給料より、10個買える給料の方が10倍価値があるという考え方に基づいて作られた指数のこと。貨幣価値を比較するときの指標であり、所得の偏差値のようなものといえるのかもしれない。
つまりこの発表は、14年には中国人全員の購買力がアメリカ人全員の購買力を上回る、ということになるだろう。中国はアメリカの人口の4倍以上なので、この発表からでは中国人がアメリカ人よりも豊かになったとは、もちろんいえない。しかしながら当然、中国が大きなマーケットになったという指標ではあり、世界の工場としての中国から、世界の消費地としての中国への移行を裏付けるものではあるようだ。
中国が世界一となるのは実に166年ぶりとのこと。166年前と言えば日本に黒船が到来した頃で、まだ江戸時代。葛飾北斎や国定忠治の時代である。そんな遙か昔に中国が世界第一位だったことも驚きなら、今回166年ぶりに世界一に返り咲いたことも驚きである。アジアの超大国の復活を裏付ける出来事には違いないが、復活した竜が世界にどのような影響を及ぼすのか、今年も目が離せない。(編集担当:久保田雄城)