ASEAN最大の経済大国 インドネシアの経済成長に黄信号

2014年12月17日 11:45

画・ASEAN最大の経済大国 インドネシアの経済成長に黄信号

人口、世界4位約2億5,000億人、ASEANを牽引する経済大国インドネシアの経済成長に黄信号が灯っている。今年10月に大統領になったばかりのジョコ・ウィドド氏は難しい経済のかじ取りを迫られている。インドネシアは2011年に6.5%の経済成長を達成したが。

 人口、世界4位約2億5,000億人、ASEANを牽引する経済大国インドネシアの経済成長に黄信号が灯っている。今年10月に大統領になったばかりのジョコ・ウィドド氏は難しい経済のかじ取りを迫られている。

 インドネシアは2011年に6.5%の経済成長を達成した。ジョコ大統領は16年にはこれを7.0%に押し上げると表明した。しかし中国経済の減速により、石炭などの輸出が減少し、貿易・経常赤字に転落する。今年11月のインドネシア中央統計庁の発表によると、14年第3四半期の実質GDP成長率は前年同期比5.01%だ。5年ぶりの低成長であり、第1四半期の5.22%、第2四半期5.12%と比較して更に低下している。第3四半期の前年同期比成長率は、リーマン・ショック後の2009年第3四半期(4.27%)以来5年ぶりの低水準となった。2014年の経済成長率は5.11%と予想される。

 インドネシアは資源の豊かな石油輸出国のイメージがあるかもしれないが、人口増加と経済成長により、すでに石油輸入国に転落している。その他にも資源輸出が低迷しており、財政赤字とともに「双子の赤字」となっている。

 増える高学歴若年層の雇用などという面から見ても、資源依存型から経済の転換はインドネシア経済最大課題である。
 
 インドネシアは各産業に多額の補助金をばらまいている。これに対してジョコ大統領は補助金削減を公約に打ち出し当選したが、補助金燃料(軽油、ガソリン等)の販売制限は人々の不満を高めている。大規模デモに発展しかねないという声もある。他にも補助金削減による物価の高騰に国民の批判は多い。

 貧困層への現金支給というジョコ大統領の選挙公約は成長率7%を前提としたものだ。しかしジョコ政権の国内産業の振興、保護貿易主義的傾向もインドネシア経済への悪影響を及ぼしかねないと指摘するエコノミストは多い。例えば国内生産用機械輸入の外貨需要は増すが、資金調達が間に合わない。

 インドネシアの名目GDP(2013年)は870,280億ドル。ASEAN2位のタイ(387,250億ドル)、3位のシンガポール(297,940億ドル)の2ヶ国を足した以上のダントツの経済規模だ。アジア地域では中国、日本、インド、韓国に次ぐ。アジアの大新興国経済から目が離せない。(編集担当:久保田雄城)