14年度の国内民間企業のIT市場規模は2.1%増の11兆1,500億円に

2014年12月09日 12:45

 株式会社矢野経済研究所は、国内民間企業のIT投資実態と今後の動向について調査を実施し、3日、その結果を「国内企業のIT投資に関する調査結果 2014」として発表した。それによると、2014年度の国内民間企業のIT市場規模は前年度比2.1%増の11兆1,500億円と予測している。

 まず、国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は、2013年度は前年度比1.9%増の10兆9,250億円と推計した。法人の景況感は大企業・中堅企業では上昇傾向が示されており、2014年度は前年度比2.1%増の11兆 1,500億円、2015年度は前年度比0.2%増の11 兆1,700億円、2016年度は前年度比0.4%増の11兆2,100億円を予測した。

 総務省の家計調査からは個人消費は停滞が続いていることがうかがえる一方、法人については、内閣府・財務省の法人企業景気予測調査などから大企業・中堅企業では見通しが明るくなっているという。今後も、米国経済の回復が期待されるなかで、国内においては円安も業績をサポートすることから、大企業を中心に堅調な業績を上げていく可能性も高く、国内民間企業のIT投資は増額の見通しであるとした。ただし、欧州や中国経済の停滞感など不透明な点は多く、楽観視はできないという。

 他方、2013年度はWindows XPの更新に伴う投資により、ハードウェアが盛り返したものの、今後はハードウェアから BPO やクラウドコンピューティングなどサービス分野へのシフトがより鮮明になっていくという。ITベンダー側の動きもサービスへの注力が目立ち、主役はクラウドサービスに移るため、サービスは安定的に伸びていくことになるとしている。

 今回のIT投資アンケート調査結果をみると、回答企業の売上高、営業利益の平均金額は、どちらも2012年度から2014年度に向けて上昇傾向にあり、堅調な業績を見込んでいる民間企業が多いという。ただし、売上高2013年度、2014年度と伸長するものの、営業利益額については2014年度が2013年度に比べわずかに減少していることから、売上増の見通しを背景にIT投資を増加している様子がうかがえるとした。

 しかし、売上高の平均金額についても、2015年度は前年度に比べてほぼ横ばいなのに対し、2016年度は減少予測となっており、企業の将来見通しは必ずしも楽観的であるとはいえない。IT 投資の内訳についていえば、2014~2015年度は Windows Server 2003のサポート切れに伴う移行作業を見込む企業が多く、また、どの業種においても仮想化ソフトウェアやセキュリティ関連ソフトウェアへの投資優先度が高く、これらが IT 投資の増加要因であると分析している。(編集担当:慶尾六郎)