中国国家統計局によると、在庫の積み上げを背景とし、5月の工業生産の伸びは、4月から0,1ポイントと鈍化していることが分かった。
5月の生産と投資の伸びが鈍り、消費の勢いがなく、生産は増加、倹約令による実質的な収入源、人民元の上昇などが足かせとなって、中國の景気回復の足取りが鈍くなってきた模様。
中国の鉄鋼業界では、今年の粗鋼生産量では、1~2%増と言う業者が多い。個人消費では、需要が内陸部に拡大し、新車販売は、5月の前年同期比1割程度だった。社会消費品小売額(小売売上高)12.9%と4月より0.1ポイント改善したが、中国政府の目標である、14.5%には遠く及ばない数字であった。
輸出面では、5月に1%増と4月までの5ヵ月連続の2ケタ増から、急ブレ―キがかかった。また輸出を装って投機資金で、本土に持ち込む「水増し輸出」の取り締まりが強化されたことも大きいな影響が輸出企業に与え、苦境が表面化したといえよう。
中国政府が、大規模景気刺激対策打ち出す様子は、今のところ見当たらない。投資をつきましても製造業の生産能力の過剰が、一段と深刻になるだけだからだ。
一方投資資金の流入が、一服して、短期金利が上昇するなど、金融市場の動きが、景気の波乱要因となる悪要素も出始めている。また住宅価格は高止まりし、中国人民銀行(中央銀行)も、簡単には金融緩和へのかじ取りはできない。
これ以上金利の上昇が続けば、企業の資金調達がますます困難となり、景気への新たなリスクを生むことも予想されよう。これまで中国経済が順調な伸びを見せていただけに、その反動がここにきて、少しずつで始めたと見る向きは多い。そうした意味でも今後の中国経済の成り行きが大いに注目されよう。(編集担当:犬藤直也)