JA全中反発強めるも、抜本的に見直すと政府

2015年01月17日 09:56

 政府は全国農業協同組合中央会(JA全中)が全国の地域農協に対して持っている一律的な指導や監査権限を廃止し、地域農協の独自性を引き出して農家・農業の育成につなげる方針だが、萬歳章JA全中会長は「JA全国監査機構が実施する監査の廃止が各JAの現場では農業所得の増大にどういった関連があるのか理解しかねるとの声が多くあがっている」と反発を強めている。

 萬歳会長は「公認会計士監査とすべきという唐突な提案がなされていることに対して理解できずにいる」とし「上場株式会社の監査では投資判断としての財務諸表の適正性を証明することが求められているが、JAの監査に対する組合員をはじめとした利害関係者の期待はJA事業を継続利用するためのJAの健全性の維持にある。期待に応えるためには、会計監査だけでなく業務監査を一体的に実施する必要がある」と監査権限の廃止に強く反論する。

 また監査報酬について「JA全国監査機構の場合はJAとの個別契約ではなく、賦課金方式をとることで監査の独立性を担保している」とする。

 一方、菅義偉官房長官は「改革の趣旨は、地域農協が主役になって農業の成長産業化に全力投球できるように抜本的改革を行っていくもので、しっかりとした案をまとめていきたい」とし、通常国会に必要な法改正案を提出する考えを示した。

 菅官房長官は「全中は昭和29年に経営危機に陥った農協を再建救うためにできた組織で、60年前には全国に1万を超えていた。今は700に減少するなど状況は大きく変化している」として「日本の農業、単位農家、単位農協発展のために、全中の在り方を抜本的に見直すことにしている」と、まさに岩盤規制の改革に強い意思をうかがわせた。(編集担当:森高龍二)