近年、自動車においてもエレクトロニクス化が進み、それに伴い電子部品の搭載比率も年々高まっている。電流を調整することで電気回路をスムーズに動作させる働きを持つ抵抗器は、早い時期から搭載が進んでいた。また昨今は、自動車の高機能化により回路内の電流量が増大しており、小型でありながら高電力に対応した製品への要求が高まっているという。こうした中、IT機器に欠かすことの出来ない角形チップ抵抗器やチップネットワーク抵抗器を世界で初めて開発し、現在も小型化・多連化・超高精度化・超低抵抗化など、抵抗器に要求される幅広い技術で世界をリードするローム<6963>が、車載や電源向けに電流検出用チップ抵抗器の新製品「LTRシリーズ」の増産を進めている。
今回の製品の最大の特徴は、高い定格電力を実現している点である。定格電力とは、その抵抗器が耐えられる消費電力値のことで、数値以下で使用しないと壊れてしまう。新製品では独自の放熱設計により、3216サイズ品(3.2×1.6mm)として従来比4倍となる1Wにまで高めた。さらに、周辺温度によって変わる抵抗値の変化の大きさを表す抵抗温度係数も業界トップクラスの小ささである。その為、厳しい温度補償が要求される車載システムや電源、モータなどの電流検出用に最適なチップ抵抗器となっている。大電流化が進むこうした製品への需要増を裏付けるように、4月当初は月産100万個だった生産量が10月時点で月産400万個にまで増産した。
抵抗器のような汎用部品の場合、コスト競争に陥ると、海外メーカーに対抗することは難しい。その為、日本の企業はこうした高付加価値化した製品が必須となる。この点、ロームは常に一歩先の技術を開発し続けていると言えるであろう。成長市場として期待の高い自動車や産業機器向けの製品だけに今後の動向にも注目したい。(編集担当:井畑学)