注目される日米首脳会談

2013年01月05日 08:57

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オスプレイ配備に反対する人々(昨年秋に撮影)

 安倍晋三総理とオバマ米大統領との日米首脳会談が早ければ今月下旬に実現する。

 「内閣あげて外交・安全保障体制の強化に取り組む。特に日米同盟の強化により外交力を高める」とする安倍総理が自衛隊と米軍の協力関係強化とともに、集団的自衛権の行使に対する政府解釈の将来的変更にまで踏み込むのか、TPP交渉参加に向けた日本の姿勢を話題に挙げるのかどうかと同程度に注視しなければならない。

 安倍総理は日米同盟関係の強化には「集団的自衛権は有しているが、行使は認められない」とする歴代の政府見解を塗り替え、集団的自衛権が行使できるよう現行憲法下での解釈変更をしなければならないと考える議員のひとり。与党の石破茂自民党幹事長も同様の考えを有している。

 また自民党はさきの総選挙で「外交・安全保障」の公約に「集団的自衛権の行使を可能とし、文民統制を強化し、国全体で安全保障に取り組む国家安全保障基本法を制定する」と掲げたほか「日本でできることは日本がやるとの考えに基づき、互いの役割分担を見直すことにより日米同盟を深化させて抑止力を向上させるとともに、法と正義による世界秩序を確立する」とした。「安倍カラーが色濃くでている」との見方もある。

 いずれにしろ、集団的自衛権の行使を可能にすることを背景に米国との交渉の立ち位置を少しでも対等化したいというのが安倍総理の発想にあるようだ。

 一方で、安倍総理は総理就任後の初の記者会見で「さきの安倍政権(第一次安倍内閣)においての安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の結果が、福田政権での官房長官に対し行われたが、あの類型でいいのか、もう一度、あのときの有識者から伺うことによって、また、検討を始めていきたい」と答え、拙速に解釈変更をすることはしない姿勢もみせた。

 背景には連立与党・公明党への配慮がある。安倍総理は「連立政権によって政権基盤は安定し、政策は実行できる」と断言した。

 その公明党は、山口那津男代表が「集団的自衛権は自民党の単独政権のころから『憲法上、必要最小限を超えるものであるから行使できない』ということでやってきた。私たちは今でも、それを妥当だと思っている」とし、「集団的自衛権を認めると、わが国の領土・領海をこえたところ、海外で武力を使うことを認めることになる。その点で、憲法上の歯止めがなくなる」と事実上、行使の容認に反対の考えを示している。

 山口代表は「(日本の)周辺国からのアメリカに向けたミサイルを撃ち落すという議論だけでなく、イランで起きたことに日本の自衛隊が参加していったらどうなるのか、そういうところもしっかり配慮したうえで慎重に議論していくべき課題だ」と議論する場合にも、相当慎重な議論をしていかねばならない案件との認識を示した。

 この問題は夏の参議院選挙後に急浮上しそうだが、日米首脳の暗黙の約束にならないことこそ、議論を進めるうえで、今は最も重視されなければならない。(編集担当:森高龍二)