高速&テクニカルサーキットを制したのは、ヤマハとの契約を2年延長することを発表し、チームとの絆もますます深まったホルヘ・ロレンソ(ヤマハ)だった。
ヨーロッパでも屈指のハイスピードサーキットで、同時にチャレンジングなコーナーも多数存在するシルバーストーン。決勝レースは気温は15度、路面温度は23度でドライコンディションでのスタートとなった。
天候に翻弄された予選で1番手をもぎ取ったのは自身、最高峰のクラスに参戦して38戦目のアルバロ・バウティスタ(サン・カルロ・ホンダ・グレッシーニ)。2番手には本来の走りが戻ってきたベン・スピース。第6戦のフロントローはいつもと違う顔ぶれだった。地元レースとして期待されるカル・クラッチロー(モンスター・ヤマハ・テック3)は初日のフリー走行中に転倒し、左足首を負傷、無念の予選欠場により最後方からのスタートを余儀なくされた。
昨年の波乱のレースの記憶が蘇る中、ホールショットを奪ったのはスピース。序盤は1秒の中に7台がひしめく混戦模様であったが、5周目、予選3番手のケーシー・ストーナー(ホンダ)が先頭に立った。また、クラッチローは驚異のスタートダッシュで、最後尾から11位にまで浮上した。
序盤、4番手からトップの走りをじっくりと観察し、7周目に3位に順位を上げたロレンソは一気に同僚スピースもかわし、トップのストーナーを捉えるかという走りを見せる。徐々に差を詰めるロレンソは11周目の激しいバトルを制しトップに立つ。
その後も安定した走りを見せたロレンソは12周目以降、一度もトップの座を譲ることなく安定した走りで3連勝(4勝目)を飾った。2位には3位のダニ・ペドロサ(ホンダ)と最後まで競り合ったストーナーが入り、表彰台はまたしても常連の顔触れとなった。途中4位まで上がり、追い上げたアンドレア・ドビツィオーゾ(モンスター・ヤマハ・テック3)は11周目に転倒し、19位と残念な結果に終った。一方、チームメイトのクラッチローは気迫の走りで13人をかわし6位でフィニッシュ。地元の大声援を受けた。また、スピースも5位フィニッシュで今シーズンのベストリザルトとなった。
“強さ”を見せたロレンソがストーナーとのポイント差を25点に広げたシルバーストーンのレース。次戦以降、タイヤとのマッチングを修正してくるであろうホンダファクトリー勢と、安定した速さをキープしているヤマハ勢との戦いはますます激しくなるに違いない。
第7戦オランダGPはTTアッセン・サーキットで、6月30日に決勝が行われる。(編集担当:加藤隆文)