アキュラホーム、長年の注文住宅で得たノウハウを高品位住宅「AQレジデンス」に活かす

2015年03月28日 20:06

AQ Residence

モデルハウスのこだわりの部分を見つけるのは、発注者の“目線”によって大きく異なるだろう。モデルハウスコンセプトの“リゾート感”が見事に発揮されたバスルームは、眺める中庭と一体となった好例。また、この中庭は2階のリビングに居て“上から見る”ことができる秀逸なレイアウトだ

 アキュラホームは、長期にわたって注文住宅の合理化ノウハウを蓄積・体系化したアキュラシステムによって成長を図ってきた。昨年発表した、「住みごこちのいい家」「太陽を活かす家」などが好例である。

 こうしたなか、営業の現場から、顧客の“こだわり”に対応できる高価格帯住宅受注セクションの必要性が生まれてきたという。つまり、注文住宅を建てるというユーザーには、こだわる部分(それはキッチン、バスルーム、そして採光や庭、趣味を活かすオーディオルームなのかもしれない)において、「顧客が“投資したい”と思うあらゆる要求に応えられる知識・機能・能力がホームビルダー・スタッフに求められている」ということだとアキュラホームは判断した。そのための特別チームを編成できるだけの組織を作るというわけだ。

 まず手初めに、この“高品位な住まい「AQレジデンス」”を実現するために、アキュラホームは、住宅施行のマイスターである3人の“日本の匠”と手を結んだ。

 一人目は、数寄屋大工の銘工・杉本広近。京都の中村外二工務店で10年間修行した日本では数少ない数寄屋造りの大工職人だ。国内にとどまらず、海外からのオファーも多い。東日本大震災の復興支援に力を入れ、ボランティアで神楽舞台を製作。早池峰神楽(ユネスコ無形文化遺産)公演などで使用された。

 そして、左官職人の久住有生。祖父の代から続く左官の家に生まれ、高校生の時訊ねたスペインでガウディの建築の存在感に圧倒され開眼、左官職人を目指した。現在、国の重要文化財である「旧桜宮公会堂」を手掛けるなど、歴史的価値の高い建築物の修復ができる左官職人として、国内だけにとどまらず、海外での活動も多い。今回のモデルハウスで外壁・内装でもっとも活躍した職人、マイスターである。

 三人目は、京都の庭師・比地黒義男。全国各地、および海外の庭園の設計・施工・管理を手掛ける庭師。主な作品・工事経歴に、京都(鷹ヶ峯)光悦寺庭園露地及び本藤廻り修復工事、ハワイ(マウイ島)グランドハイアットワイレア日本庭園レストラン、北海道(帯広)六花亭露地庭園工事、兵庫県(淡路島)勝福寺露地庭園工事、北海道(洞爺湖)ウインザーホテル坪庭庭園工事などがある。

 今回、同社は高価格帯の新ブランド「AQレジデンス」の訴求をスタートさせるにあたり、「特別チーム」を自在に編成できる組織とした。こうしたチームがつくり上げたモデルハウスを先の3人の“匠”と協働で東京・環状八号線沿い・瀬田の住宅展示場に建設した。

 社内で検討したモデルハウスのコンセプトは非常に具体的だ。子育てを終えた60歳夫婦ふたりが求める個性溢れる高機能な“住まい”だ。夫人は「開放的なリゾート感あふれるスペース」を欲し、主人は「のんびり過ごせる庭が……」という。しかしながら、「プライベートな空間であることと、充実したセキュリティは必須」と相反する要求を“東京都心”で満たす住宅である。

 今回のモデルハウスは展示場で見ればすぐに理解できるのだが、周囲を壁で覆い、外部からの視線や干渉を拒否する家に見える。が、内包される庭を含んだ“居”のスペースは“見せる住居(モデルハウス)”として見事な出来だ。今回の高品位住宅を訴求するアキュラホームは、施主の要望を最大限に汲み取って設計者・建築家や職人、素材の選定などそれぞれの分野のプロや職人、マイスターなどをコーディネートする役目を担う。

 発注者である顧客が住宅のどこに“こだわる”か? それによってアキュラホームが組織するスタッフも変わるだろう。そのための「取りまとめ役『コンシェルジュ』(アキュラホーム宮沢俊哉社長・談)である専門部を社内に設置して販売」するという。施行部もそのコンシェルジュが組み立てた主旨にあわせて、選び抜いた人材・職人を配置してチームを組むという。また、価格帯は4800万円(205平米)からで、アキュラシステムを活用する事により市場価格より約3割程度安くする事に成功した、との事だ。

 当面、首都圏で初年度20棟程度の受注を目指し、3年後には東海、関西への販売を実施し、年間100棟の受注を目指す。(編集担当:吉田恒)