日立製作所は24日、国内最大となる洋上向け風力発電システムの1号機の建設が完了したとの発表を行った。今回建設が完了したのは5MW(5000kW)の大型風力発電システム「HTW5.0-126」の1号機で、茨城県神栖市沿岸の陸上に設置されている。この1号機は、吹き上げてくる風などを効率良く受け止め発電することができる「ダウンウィンド型」が採用されており、システム全体の軽量化やコンパクト化をはかり、洋上に建設する際の基礎工事におけるコスト軽減が可能となっている。
現在、出力2000キロワットクラスの風力発電が主流だが、今回日立製作所は建設を完了させた1号機の出力は5000キロワットであり、1基で1万2000世帯分の電力をまかなうことができるという。また採用されている「ダウンウィンド方式」には、ローターを風下側に配置することで、暴風時にもローターが横風を受けない向きを保持し、風荷重を低減することができるという特徴があるため、台風の多い日本の環境に適した方式として注目されている。
試運転、風速・出力の検証や評価を行った後に、日立製作所と日立キャピタル<8586>が出資する風力発電会社「日立ウィンドパワー」が「鹿島港深芝風力発電所」として夏ごろより商用運転を開始する。発電した電気は東京電力<9501>に売電される予定。
日立製作所はこれまで、2000キロワットクラスの浮力発電システムを国内に97基納入しており、今後の市場ニーズに対応するために、経済産業省や環境省が実施する「浮体式洋上風力発電」の実証事業にも参画している。日立製作所としては今後も拡大が見込まれる風力発電の分野において積極的に事情を展開するとともに、社会インフラを支えるエネルギーソリューションの提供を通じて、低炭素社会の実現に貢献していきたいとしている。
茨城県神栖市沿岸は現在、国内有数の新エネルギー拠点となっており、今後も鹿島港沖で大規模な洋上風力発電所の建設が行われる見通しで、5000キロワットクラスの風力発電所システムをウインド・パワー・エナジーと丸紅<8002>がそれぞれ25基ずつ建設する計画が立てられている。(編集担当:滝川幸平)