内定率の回復を機に学生の就活スタイルは変わるか

2013年01月10日 12:50

 リクルートキャリアによると、2013年春に卒業予定の大学生のうち、就職希望者の内定率は80.9%となった。企業の採用動向も堅調に推移しており、内定率には徐々に改善の兆しが見られる。とはいえ昨年、大学を卒業した約56万人のうち、22.9%は安定的な雇用に就いていない(文部科学省「平成24年学校基本調査」)。大学を出ても、2割の学生は安定した職に就けないのである 。

 長引く就職活動による「就活うつ」も問題になっている。何十社もの企業を受けては落ちるという終わりのないサイクルの中で、うつ状態になる学生が7人に1人もいるという 。
 
 なぜ大学生は就職できなくなったのか。大学生が増えすぎたことがその一因であると言われているが、就職活動の方法が変化したことも理由のひとつだろう。

 00年代頃から、インターネットの普及により大手就職ナビサイトが登場。学生たちは就職ナビに掲載された企業情報をもとに、クリックひとつで数十から時には100社以上の企業に応募することが可能となった。「就活マニュアル本」も数多く発売され、大学生協の売り上げランキングで上位を占めている。中でも長年のベストセラーである『絶対内定』は、就活本に初めて「自己分析」の考え方を取り入れたことで有名だ。

 ただ、企業の採用担当は、毎年同じような自己分析や自己アピールを何百人から聞き、食傷気味になっている。手当たり次第に受けてくる学生は簡単に見抜かれてしまう。

 「自己分析」とは、「あなたはどんな人間か」を掘り下げながら「企業にアピールする自分の物語」を作り上げる方法だ。だが企業側は、学生が作った「自分の物語」だけで採用を決めるわけではない。企業は自社のことを理解しようとし、自社の雰囲気にあった学生を求めている。

 企業の採用動向が回復しつつあるいま、学生側の就職活動に対する準備にも変化が求められている。