今年の春闘は、大企業を中心に前年を上回るベースアップが進んだ。好調な業績を受けて、夏のボーナスも増えそうだ。三菱UFJリサーチ1&コンサルティングが公表した「2015夏のボーナス見通し」によると、今夏の民間企業、1人あたりの平均支給額(調査産業計・事業所規模5人以上)は37万7220円と、前年比+1.8%の見込み。伸び幅も大きく、3年連続で増加するとの予測だ。
この1年は、消費税引き上げの影響で景況感が悪化。前半は特に、多くの企業が苦戦した。14年度の実質GDPは、リーマンショックがあった2009年以来初めて、マイナス成長となることが予測されている。
ただ、景況感の悪化とは裏腹に、企業業績は好調だ。円安や原油価格の下落の恩恵を受け、大企業では過去最高益を更新するケースも目立った。こうした背景から、15年夏のボーナスは大幅に増える見通し。産業別では、製造業、非製造業ともに増加が続くと予測されている。ただ、大企業では順調に増加する一方、中小零細企業は業績がまだら模様であることから、ボーナス支給を見送らざるをえない例も目立つ。大企業と中小企業の格差が、ますます広がる可能性もある。
雇用情勢が好調で、働く人が増えているため、ボーナスが支給される労働者の人数は増加している。今夏のボーナスの支給労働者数は3929万人(前年比+1.7%)に増加し、支給労働者割合も83%(前年差+0.8%ポイント)に上昇する。また、1人あたり平均支給額と支給労働者数がともに増加することから、2015年夏のボーナスの支給総額は14.8兆円(前年比+3.6%)に増加する見通し。春闘でのベースアップに加え、夏のボーナスも増加が続くことで、個人消費の持ち直しが速まるきっかけになるかもしれない。
ちなみに国家公務員(管理職および非常勤を除く一般行政職)の夏のボーナスの平均支給額は61万7800円で、前年比+5.3%と、こちらも大幅に増加する見込み。平均年齢の上昇や、人事院勧告による月例給の引き上げを背景とした基本給の増加などが、支給額を押し上げる要因となっている。(編集担当:北条かや)