日本弁護士連合会の村越進会長は6日、労働時間規制を緩和する政府の労働基準法改正案に対し「長時間労働の実効的な抑止策のないままに労働時間規制を緩和しようとするもの」と反対の声明を発表した。
声明では、「特定高度専門業務・成果型労働制(高度プロフェッショナル制度)」を創設し、高度専門的知識を要する業務において、年収が平均給与額の3倍の額を相当程度上回る等の要件を満たす労働者については、労働基準法で定める労働時間並びに時間外、休日及び深夜の割増賃金等に関する規定を適用しないものとしている」ことに対して問題点を指摘。
「事業主は時間外労働に対する割増賃金を支払う必要がなくなり、長時間労働に対する歯止めが一層かかりにくくなることや、対象業務の範囲や年収要件の詳細が省令に委ねられ、対象範囲が容易に拡大される恐れがあることなど重大な問題が残されたまま」だとしている。
また企画業務型裁量労働制での対象業務拡大について「労働の量や期限は使用者によって決定されるため、命じられた労働が過大である場合、労働者は事実上、長時間労働を強いられ、しかも労働時間に見合った賃金は請求し得ないという問題が生じる」と問題提起した。(編集担当:森高龍二)