スマートメーターにウェアラブル機器、新しい無線通信規格に取り組む企業

2015年04月18日 19:09

MK71050-03

ラピスセミコンダクタが開発したBluetooth Smart対応2.4GHz無線モジュール「MK71050-03」

 ロームグループのラピスセミコンダクタは、ローパワーマイコンやその技術基盤をいかした無線通信テクノロジーに定評がある。例えば、国内電力各社が進めているスマートメーターのBルートとよばれる、メーターとHEMS(ホームエレクトロニクス・マネジメントシステム)との間の通信はWi-SUN(Wireless Smart Utility Network)が最有力であるが、そのWi-SUNに対応する通信LSIを世界最速で開発した後、業界として初のWi-SUNに最適化したCPU混載LSIも開発している。

 そのラピスセミコンダクタが、スポーツ&フィットネス機器、ヘルスケア機器などに最適なBluetooth Smart対応2.4GHz無線モジュール「MK71050-03」を開発した。

 Bluetooth Smart規格の登場でウェアラブル端末機器に代表されるさまざまなデバイス・機器がスマートフォンやタブレット端末、ノートPCなどのモバイル端末とつながり、新たなサービスが世界的に検討されている。これらに用いられる無線通信製品の開発にはアンテナ設計や各種回路調整、そのための経験やノウハウが必要とされている。このため、市場の広がりとともに技術・経験・ノウハウや無線認証といった煩わしさを解消し、誰もが手軽に開発できる製品が必要とされていた。

 こうした市場の要求に応えた新製品「MK71050-03」は、同社が量産していて、すでにスマートウォッチなどに採用実績のあるBluetooth Smart対応無線通信LSI「ML7105」に、ソフト格納用のEEPROM、システムクロック用の水晶発振器及びパターンアンテナを付加した小型モジュールである。製品の大きな特徴は、まず業界でトップといわれる低消費電力。加えて、無線通信のための各種回路調整が不要で、主要地域(日本、北米、欧州)の無線認証も取得済であること。また、性能調整が必要な項目については、ラピスの工場で出荷前に完了しているため無線に慣れていないユーザーにも、使い勝手のいいモジュールといえる。現在、無線LSI メーカーが提供する業界唯一の無線モジュールである。

 開発完了に伴い4月8日から、アールエスコンポーネンツ、チップワンストップ、コアスタッフの3 社にて、この「MK71050-03」モジュールとパソコンを使ってシリアル通信できる「USB 評価キット」のインターネット販売を開始した。また、本モジュールを使って無線通信を実施するために必要な各ドキュメント、サンプルソフトウェアはすべて専用サイトからダウンロードすることができる。

 さらに、「USB 評価キット」に対応したスマートフォンアプリ「BLE TOOL」(無料)も準備しており、スマートホフォンで手軽にBluetooth Smartの通信をテストすることが可能だ。

 ラピスセミコンダクタは、用途が拡大するIoT 市場向けに、誰でも手軽に無線通信環境の構築が可能となる無線通信LSI と無線通信モジュールを今後も開発していくという。(編集担当:吉田恒)