いよいよ動き出した電気メーターのスマート化がもたらすもの

2014年08月02日 12:39

 2014年4月の省エネ法改正によって、国内電力大手10社が「スマートメーター」の導入を決定。各社が管轄内における全顧客の電力計を、スマートメーターに置き換えることとなった。最も早い東京電力<9501>では、20年までにすべての顧客先で双方向通信機能を持つスマートメーターの設置が完了する見込みだ。沖縄電力<9511>がスマートメーター化を完了する25年には、日本の電力計はすべてスマートメーターとなる。

 ところで、スマートメーターはどんなメリットがあるのだろう。電気を送配電する会社に使用状況のデータが送られるため、需要動向を細かく把握できる。曜日や時間帯で料金差を設けたり、電力が余っているときは料金を安くし、電力不足が予想されれば、料金を引き上げるといった柔軟な料金プランも作れるようになる。電力が逼迫したときはメーターを通じて利用者に「電気代が高くなる」と通知し、節電を促すこともできる。

 定期的に電力消費を記録し、データ通信機能を使ってパソコンやスマートフォンに通知することも可能だ。多くの電気を消費している家電を見分けたり、電力消費量が多い時間帯を分析することができる。節電したい時間帯に目標値を設定すれば、必要のない照明などを自動的に落とすといった機能も実現するだろう。電気の使用状況から在宅者を把握し、お年寄りの見守りサービスなど別の商機につなげることもできる。警備センサーや火災報知器が異常を察知したら、メーターのデータ通信で自動通報するといった活用もある。

 海外へ目を移すと、スマートメーターは欧米のみならず、中国でも政府主導で導入が進められている。すでに、全世帯へのスマートメーター設置が完了した国もある。スマートメーター導入の機運が高まっているのは電力業界だけではない。メーターのスマート化は、電気、ガス、水道の3分野で可能だ。

 日本のスマートメーターの市場には莫大な需要が眠っていることになる。米ゼネラル・エレクトリック(GE)の日本法人である日本GEは、米国での事業実績をベースに、日本市場の計量法や電波法に適合したスマートメーターを開発した。国内の関連メーカーも含め、今後、競争が激化するに違いない。しかし、電気の利用状況は重要な個人情報だ。情報漏れを防ぐ手段の構築が急がれる。そして、膨大な設置コストは電気料金に跳ね返ってくることを私たちは忘れてはならない。(編集担当:久保田雄城)