飲料各社、新たな省エネ自販機導入を加速

2013年01月12日 10:23

 2011年の大震災以降、日本国内では個人はもちろん、多くの企業や団体が設備や省エネの徹底など様々な手法を駆使して節電に取り組んできた。特に夏場の電力不足は深刻で、この時期の節電対策は必須であり、3年目を迎える今年もすでに特に電力需給が逼迫する夏場日中を見据えた節電対策実施が活発である。

 特に夏場の水分補給に活躍する自販機を販売チャンネルに持つ飲料業界は、さらなる省エネ対策を盛り込んだ自販機の開発に尽力しているようだ。

 ダイドードリンコ<2590>は、2013年度の新型自販機ラインアップに、冷却装置を長時間停止しても飲み頃温度をキープでき、年間消費電力量の削減にも寄与する「高性能断熱機能搭載の省エネ自販機」を積極採用し、1月から全国各地へ展開している。

 同社は従前より自販機の省エネ化に積極的に取り組んでおり、「ピークカット機能」、「真空断熱材」、「LED照明」、「ヒートポンプ機能」等の採用により、2012年度の自販機年間消費電力量は2000年度と比較して、70%以上の削減を実現。2013年度機においては、冷却装置やヒートポンプ装置の更なる効率化や高性能断熱機能の新規採用等により、2012年度対比で平均約14%、最大では約30%もの消費電力量削減となった。また、この高性能断熱機能は2013年度機の約8割に搭載されており、これらの機種は、夏場の日中に約8時間冷却装置を停止しても飲用に適した温度を保つことが可能となるため、特に電力需給が逼迫する夏場の消費電力削減にも絶大な効果が期待されるという。

 日本コカコーラーは富士電機と共同で開発した、夏の日中に冷却用の電力を使わず消費電力を95%削減しながら16時間もの間冷たい製品を提供する「ピークシフト自販機」の設置を1月より開始している。同社は1995年から実施している「ピークカット機能」や、2005年から進めている冷媒にフロンを使わないノンフロン自動販売機の導入などを積極的に行ってきた。さらに、2012年以降は缶・PET自動販売機全台にLED照明を搭載している。今回開発された「ピークシフト自販機」では、ピークシフトテクノロジーにより、冷却のための電力使用を、一般的に電力使用が「ピーク」となる日中から、比較的電力に余裕がある夜に「シフト」。すでに日中の消費電力を95%削減できることを検証しているという。また、冷却運転のためのコンプレッサーを長時間停止させることから運転音が発生せず、病院やオフィスのように静けさが求められるロケーションの設置にも適しているのも特徴。初年度の目標台数は25,000台としている。

 震災直後は電力の無駄使いと揶揄された自販機だが、様々な電力機器がある中で、自販機の省エネ対策への取り組みは各社震災前より積極的に行っており、特にここ10数年程で大きく飛躍している。「365日、光が灯っているから電力を使いすぎ」と目に見えるものだけで判断することは必ずしも正しくはない、そう感じさせる自販機の省エネ力に今後も注目していきたい。(編集担当:宮園奈美)