アメリカの3月の貿易赤字、43%増の高水準

2015年05月08日 08:27

 アメリカの貿易赤字が、約20年ぶりとなる大幅な増加となった。5日、アメリカの商務省が3月の貿易赤字(季節調整済み)を発表。それによれば、前月比43.1%アップの513億7000万ドル(約6兆1700億円)であり、前月と比較した増加率としては1996年12月以来となる高さであり、赤字額は2008年10月以来となる大幅増加となった。

 ドル高を背景に中国やヨーロッパなどからアメリカへの輸入が増加し、貿易赤字が約20年ぶりとなる大幅増加をみせる形となった。さらには自動車関連やハイテク製品の輸入が増え、対日赤字も大きく増加した。

 この3月の貿易赤字は、アメリカ政府が先週に発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)速報値で推計した452億ドルを大きく上回っている。国内総生産の統計の中でアメリカ政府は外需の寄与度をマイナス1.25ポイントと計算し、年率換算で国内総生産を0.2%押し下げるとしていた。今回の3月の貿易赤字拡大を受けて、今月末に発表される第1・四半期の国内総生産の改定値で成長率は下方修正される可能性が高いとみられている。

 3月の輸入は前月比7.7%アップの2392億1000万ドルと、統計史上最も大幅に拡大。ここ数ヶ月間に渡って西海岸港湾の労使対立により止まっていた輸入品の流れが再開したことが影響したと考えられている。その一方で輸出は前月比0.9%アップの1878億4000万ドルにとどまった。このことからも、今のアメリカの財・サービスの海外需要の弱さをうかがうことができる。

 そして2月の貿易赤字については、当初の発表である354億4000万ドルから358億9000万ドルに修正された。赤字額は09年10月以降で最も小さなものとなった。

 そして1~3月の貿易赤字の移動平均は433億1000万ドルとなり、前年同期の411億7000万ドルからわずかに拡大。さらに品目別に貿易収支を見てみると、石油製品の赤字は76億7000万ドルで、02年6月以来の最も低い水準となった。原油の平均輸入価格は1バレル=46.47ドルで、前年同月の93.91ドルを大きく下回った。(編集担当:滝川幸平)