日本でも低価格のスマートフォン(多機能携帯電話)、いわゆる「格安スマホ」を発売するなどの「異業種による携帯電話市場への参入」が盛んだが、ところ変わってアメリカの携帯電話市場では、インターネット検索大手の米グーグルが本格参入するとの発表を行った。日本でのイオン<8267>などの流通大手が「格安スマホ」で参入するのと違い、インターネット検索大手の米グーグルによる参入は「まったくの異業種による参入」とは言えないが、アメリカの携帯電話市場の「台風の目」となることは間違いなさそうだ。
22日、米グーグルは携帯通信網とWi-Fi(ワイファイ)への接続を自動で切り替えることができる新ワイヤレス・サービス「プロジェクト・ファイ」を開始し、アメリカの携帯電話市場に本格参入するとの発表を行った。通話とソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)は月額20ドル(約2400円)の定額制となっており、データ通信は1ギガあたり月額10ドルの従量制となっている。こうして利用したデータに応じて料金を支払うことが可能となっていうため、Wi-Fi利用時の料金も抑えることができるという。ソフトバンク<9984>の子会社でアメリカの携帯電話市場第3位のスプリントと、第4位のモバイルUSと提携し、両社の通信回線を利用してサービス提供が行われる。
サービス対応機種は米グーグルの「ネクサス6」のみで、スプリントとモバイルUSの通信回線以外にも、100万ヶ所以上あるWi-Fiスポットも利用される。それらのうち、電波の強い方へ自動で接続が切り替わるという。ただしサービス加入はグーグルが招待した顧客だけが可能だという。どの程度の顧客を招待するかは明らかにしていない。収益性を鑑みながら少しずつ拡大させていくものとみられる。
アメリカの携帯電話大手各社は、国内通話のかけ放題サービスの提供を行っているものの、基本料金は40ドル以上が一般的となっている。またデータ通信も一定量まで定額としていることが多い。こうした状況に対して「月額20ドル」「従量制」という顧客にとって魅力的なサービス内容を提示した米グーグルだが、同社の参入によりアメリカの携帯電話市場に新たな競争が巻き起こりそうな気配だ。(編集担当:滝川幸平)