東京商工リサーチの調査によると、4月の「東日本大震災」関連倒産は7件だった。前月の3月(28件)が事業停止中の企業整理決定の増加などから2年11カ月ぶりに前年同月を上回ったが、4月は速報値ながら4カ月ぶりに10件を下回り、震災関連倒産は再び収束傾向を強めた。震災からの累計は4年を経過して1,605件に達した。
地区別は、関東5件、北海道と東北が各1件の順。このうち、東北は秋田だけだった。「震災関連」倒産の累計1,605件を都道府県別にみると、最多は東京の483件(4月3件)。次いで、宮城123件、北海道82件、神奈川68件、福岡66件、千葉62件、岩手57件、茨城55件、群馬53件、栃木と静岡が各46件、大阪44件、福島43件、埼玉41件、山形40件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は311件(構成比19.3%)だった。
倒産の累計1,605件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の422件(4月2件)。次いで、製造業が371件(同1件)、卸売業が292件(同1件)、建設業が198件(同1件)、小売業が149件(同1件)と続く。
「震災関連」の経営破綻は、原則として次の3 つのどれかに該当するものを集計しているという。震災により施設・設備・機械等に被害を受けて経営破綻した「直接型」。以前から経営不振だったが、震災による間接影響を契機に経営破綻した「間接型」。そして、震災の影響による経営破綻が、取引先や弁護士などへの取材で確認できた「直接・間接型」である。これをもとに被害型で分類すると、「間接型」1,475件(構成比91.9%)に対し、「直接型」は130件(同8.1%)だった。4月は「直接型」は発生なしだった。
また、倒産事例としては有機農産物卸のナチュラルシードネットワーク(千葉県)を挙げている。同社は、有機農産物の取扱いに限定して全国の生産者のネットワークを広げ、商社との業務提携による販路拡大などによりピーク時には年商2億5,080万円をあげていた。しかし、東日本大震災による福島第一原発事故による風評被害から2012年3月期の年商が1億5,954万円まで落ち込み赤字を計上した。その後も安価な外国産農産物との競合から経営改善を図れず破産を申請した。
電線工事の勝鹿建設(東京都)は、架空・地中配電線工事を主力とし、ピーク時には完工高22億6,076円をあげていた。しかし、東日本大震災による原発事故で東京電力関連の仕事が激減し、2014年1月期の完工高が5億2,618万円まで落ち込んだ。この間、受注減少に関する補償問題を裁判所で解決を図るよう進めてきたが、結審の目途が立たず、業績改善の見込みもないため破産を申請した。
東京商工リサーチでは、震災関連倒産は発生ペースが鈍化しているが、震災の影響をいまだ払拭できない企業は多く、影響の大きさがうかがえるとしている。(編集担当:慶尾六郎)