株式会社パテント・リザルトは、大学・研究機関を対象に2014年の特許審査過程において他社特許への拒絶理由として引用された件数を機関別に集計した「大学・研究機関 他社牽制力ランキング2014」をまとめた。この集計により、直近の技術開発において競合他社が権利化する上で、阻害要因となる先行技術を多数保有している先進的な機関が明らかになった。
それによると、ランキングは1位が産業技術総合研究所(産総研)で1,450件、2位が科学技術振興機構(JST)で800件、3位が東北大学で285件、以下、物質・材料研究機構が262件、東京工業大学が250件、理化学研究所が249件、カリフォルニア大学が247件、東京大学が229件、情報通信研究機構が204件、電力中央研究所、と続いた。
1位の産総研の最も引用された特許は、昭和電工との共同保有となっている「バイオマス由来のコハク酸系組成物」に関する特許(特許第5365824号)で、後発の特許12件の審査過程で拒絶理由として引用されており、この12件はいずれもBioAmberの特許となっている。
2014年に、産業技術総合研究所の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は東芝となっており、トヨタ自動車、コニカミノルタ、ソニーと続く。分野別には、触媒やカーボンナノチューブ、バイオテクノロジーなどに関する技術が多く引用されている。
2位の科学技術振興機構の最も引用された特許は、東京工業大学の細野秀雄教授らの発明による「薄膜トランジスタ及びその製造方法(特許第4620046号)」で、後発の特許24件の審査過程で拒絶理由として引用されており、企業別には半導体エネルギー研究所の23件、出光興産の1件となっている。
このほかには、HOYAとの共同保有となっている「ホモロガス薄膜を活性層として用いる透明薄膜電界効果型トランジスタ(特許第4164562号)」や、カリフォルニア大学との共同保有となっている「半極性(Ga,Al,In,B)N薄膜、ヘテロ構造およびデバイスの成長と作製のための方法及び装置(特願2008-514810)」などが引用件数の多い特許として挙げられる。科学技術振興機構の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業・機関は半導体エネルギー研究所となっており、東京大学、産業技術総合研究所と続いた。
3位の東北大学の最も引用された特許は、セイコーエプソンとの共同保有となっている「流体噴射装置および手術具(特許第5082049号)」。この特許はウォータージェットメスに関連する技術で、共同保有者のセイコーエプソンは、同様の特許を単独でも継続的に出願している。
このほかには、「トランジスタ及び半導体装置(特許第3276930号)」や、長岡技術科学大学との共同保有となっている「太陽電池および太陽集熱器(特許第4639337号)」などが引用件数の多い特許として挙げられる。東北大学の特許によって影響を受けた件数が最も多い企業は東芝となっており、半導体エネルギー研究所、セイコーエプソン、日立製作所と続いている。(編集担当:慶尾六郎)