世界知的所有権機関(WIPO)が3月19日発表した特許の国際出願件数(2014年)で、中国の通信機器大手「華為技術(ファーウェイ)」が3442件でトップに立った。2位が米国の通信機器・半導体開発企業クアルコムで2409件、3位が中国の中興通訊(ZTE)で2179件。昨年トップだったパナソニック<6752>は1682件に減少し、4位に後退した。華為技術は出願件数を前年より6割以上増やしたのに対して、パナソニックは約4割減らした。
中国企業では、騰訊科技(テンセント・テクノロジー)が17位、深?市華星光電技術が23位、京東方科技(BOEテクノロジー)が34位などにつけている。三菱電機が昨年より順位を上げて5位に入ったものの、前年6位のシャープと8位のトヨタ自動車はそれぞれ14位と12位に後退した。
特許の国際出願件数は企業の研究開発力を知る目安であり、今回の国際出願件数は中国企業の台頭と日本企業の退潮を印象づける結果となっている。ちなみに、世界全体の国際特許出願件数は21万4500件で前年比4.5%増加した。
1987年に設立された華為技術は、通信事業者向けネットワーク事業、法人向けICTソリューション事業、コンシューマー向け端末事業などの分野で競争力を強化している。2013年の売上高は、前年比8.5%増の2390億2500万人民元に達している。
中国国内のほか、日本、米国、ドイツ、スウェーデン、インド、ロシア、カナダ、トルコなどに16のR&Dセンターを設置しており、世界の全従業員の45%にあたる約7万人が研究開発に従事している。この研究開発体制が同社の強みだ。
同社は3月にバルセロナで開催されたMobile World Congress2015で、初めて第五世代(5G)ネットワーク・アーキテクチャと無線インターフェース技術セットを公開している。さらに同月、同社初のスマートウオッチを発表している。ウエアラブル端末としては世界で初めてサファイアクリスタルを採用している。研究開発に力を入れる華為技術の存在感は、ますます大きくなりそうだ。(編集担当:久保田雄城)