【MotoGP第7戦】カタルニアGP 好調J・ロレンソが制す 自身初の4連勝

2015年06月15日 11:37

カタルニアGP

「ワンツーを決めたJ・ロレンソとV・ロッシ

 6月14日、スペインはバルセロナ・カタルニア・サーキットで、MotoGP第7戦の決勝が行われた。舞台となったカタルニア・サーキットは近代的な設計で評価の高いコース。全長は4,727m、中高速コーナーに加え、2つのヘアピン、逆バンクなどが配置されており、アップダウンも激しい。高度なテクニックとマシンバランスが問われる難コースだ。

 今回のカタルニアGPにおいて、まずMotoGPファンを驚かせたのは予選結果だった。予選で1番時計を出したのはチームスズキエクスターのアレイシ・エスパルガロ。さらに、チームメイトのマーベリック・ビニャーレスも2番手となるタイムを出してスズキがワンツーのポジションを獲得したのだ。

 ヤマハ・ドゥカティ・ホンダを上回るタイムを出して3強に割って入ったスズキの2台。今までになかった展開にレースに対する期待も大いに高まった。

 晴れ渡った空の下迎えた決勝は気温28℃、路面温度49℃のドライコンディション。路面温度が非常に高い状態でスタートした。

 初のポールポジションスタートが注目されたA・エスパルガロは、スタート自体は悪くなかったものの、直線スピードが伸びずにオープニングラップで7番手まで後退。このA・エスパルガロと対照的に抜群のスタートを切ってホールショットを決めたのは、3番手スタートのホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)だった。オープニンラップ、J・ロレンソについで2番手につけたのはマルク・マルケス(レプソルホンダ)、3番手にはアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)。7番手スタートのバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)は5番手まで順位を上げて1周目を終えた。

 路面が非常に高温となったカタルニアGP決勝では、スタート直後に転倒したカル・クラッチロー(CWM LCRホンダ)をはじめ、リタイアするライダーが相次ぐ波乱の展開となった。

 3周目には2番手につけ、先頭のJ・ロレンソに肉薄していたM・マルケスがまさかの転倒。ピットには戻ったもののリタイアを喫してしまった。

 さらに5周目には上位につけていたポル・エスパルガロ(モンスターヤマハテック3)、6周目には3番手を好走していたA・ドビツィオーゾが転倒・リタイアするなど、序盤から上位のライダーが相次いで姿を消してしまった。

 そんな中、安定した走りを見せたのがモビスターヤマハMotoGPのJ・ロレンソとV・ロッシだった。スタート直後にトップに立ったJ・ロレンソは先頭でレースを引っ張り、V・ロッシは序盤から順当に順位を上げて4周目には2番手に浮上。今季好調のヤマハの2台がレースを支配した。

 また、相次ぐ転倒の中3番手に浮上してきたのがダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)。今季は負傷欠場などいまいち奮わなかったD・ペドロサだが今回は落ち着いた走りで高位をキープした。

 スタートで出遅れる形となったポールポジションスタートのA・エスパルガロは21周目、残り5周で転倒してリタイア。これによってアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が4位に浮上した。

 レース終盤、2番手のV・ロッシが先頭のJ・ロレンソをあと一歩のところまで追いつめたものの僅かに届かず、J・ロレンソがトップでフィニッシュ、今季4勝目を地元カタルニアGPで手にした。

 2位はV・ロッシ、3位は今季初の表彰台となるD・ペドロサ、4位にはA・イアンノーネという結果となった。

 J・ロレンソは第4戦のスペインGPから連勝中と絶好調で、4連勝は自身のキャリア初。また、チームメイトのV・ロッシも今季の開幕戦から7戦連続表彰台を獲得しており、ヤマハ勢の好調ぶりを見せつけている。

 今回の結果によって俄然面白くなったのがチャンピオンシップだ。ポイントリーダーは依然としてV・ロッシの138Pだが、J・ロレンソは4連勝で一気に差を詰め、137P。その差わずか1Pというチームメイト同士の熾烈なバトルは目が離せない展開となっている。

 さらに、今回のカタルニアGPではスズキの大きな躍進も見られた。A・エスパルガロは惜しくもリタイアを喫したが、2番手からスタートしたM・ビニャーレスは6位フィニッシュと大健闘。ヤマハ・ドゥカティ・ホンダの3強を脅かす存在になりつつあることを窺わせた。

 絶好調を維持するヤマハ勢に好調のドゥカティ、上り調子のスズキ。昨季とは対照的に奮わないホンダだが、D・ペドロサの表彰台獲得が巻き返しの契機となる可能性もある。M・マルケスのアクシデントは気になるものの、復調すれば昨季のような強さが戻ってくるかもしれない。

 MotoGPはまだ前半戦。次戦はダッチウェザーと呼ばれる不安定な天候で知られるオランダGPだけに展開の予測は難しい。このままヤマハ勢がぶっちぎるのか、それともドゥカティが追いすがるのか、はたまたホンダが反撃の狼煙を上げるのか、それともスズキが3強に割って入るのか――予測のつかないオランダGP決勝は6月27日、TTサーキット・アッセンで開催される。(編集担当:熊谷けい)