5月3日、MotoGP第4戦スペインGP決勝が行われた。決勝の舞台となったのは全長4,423mのヘレスサーキット。13のコーナーが連続するこのサーキットは最長ストレートが607mと短く、抜きどころが多いのが特徴だが、その分選手の力量とマシンセッティングが問われる。
気温26℃・路面温度30℃というドライコンディションで迎えた決勝、絶好のスタートを切ってホールショットを決めたのは、予選でポールポジションを獲得したホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)だった。これに左手を骨折、手術後の痛みを押して出場した2番グリッドスタートのマルク・マルケス(レプソルホンダ)が続いた。
6グリッドスタートのポイントリーダー、バレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)はスタートで4番手まで浮上した。打って変わって大きく順位を落としたのがフロントロー3番グリッドからスタートしたアンドレア・イアンノーネ。A・イアンノーネはスタートで大きく出遅れて、11番手付近まで後退してしまった。
ホールショットを決めてトップに立ったJ・ロレンソは序盤からハイペースで飛ばしてレースを引っ張った。2番手のM・マルケスは序盤こそ食らいついていたものの、徐々にJ・ロレンソに差をつけられ、レースはJ・ロレンソの独走状態となった。
今回のスペインGPでは序盤には先頭にJ・ロレンソ、2番手にM・マルケス、3番手にV・ロッシと上位陣の体制が固まった。
開幕戦から3戦目までは上位に食い込んでいたドゥカティだったが、A・イアンノーネはスタートを失敗、チームメイトのアンドレア・ドビツィオーゾも8周目にコースアウトを喫し、レース序盤で先頭争いから脱落した。
レースは始終J・ロレンソの独走状態で進み、J・ロレンソは2番手のM・マルケスに5.576秒という大差をつけて圧勝。最終ラップには手を挙げて優勝をアピールし、余裕を持って悠々とゴールした。
また2番手のM・マルケスは、レース後半ペースを上げたV・ロッシにギリギリまで追い詰められるもポジションを死守し、2位フィニッシュ。ポイントリーダーV・ロッシは3位という結果になった。
4位にはカル・クラッチロー(CWM LCRホンダ)、5位にはポル・エスパルガロ(モンスターヤマハテック3)。ミスで順位を大きく落としたドゥカティ勢は6位にA・イアンノーネ、3戦連続表彰台を得て絶好調だったA・ドヴツィオーゾはコースアウトが響き9位に終わっている。
なお、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)の負傷欠場のため代役出走した青山博一は、16周目に転倒しリタイアした。
いよいよヨーロッパラウンドに入ったMotoGP。3戦目まで少し元気のなかったJ・ロレンソだが、スペインGPではコースレコードを更新し、昨年の日本GP以来となるポール・トゥ・フィニッシュを決め、完全に復調している。
チームメイトのV・ロッシは今季開幕から4戦連続の表彰台を獲得。V・ロッシは今回の3位表彰台で、デビューから通算200回目の表彰台という快挙を成し遂げている。
M・マルケスも左手小指の負傷を押して今季2度目の表彰台をもぎ取り、その実力を母国GPで十分に示した。
今季のMotoGpは4戦目までを見るとV・ロッシが2勝、M・マルケスとJ・ロレンソが1勝と勝利を分け合っており、M・マルケスが独走した昨季とは全く違う混戦の様相を呈し始めた。ポイントではV・ロッシ(82ポイント)がやや抜け出してはいるものの、A・ドビツィオーゾ(67ポイント)、J・ロレンソ(62ポイント)、M・マルケス(56ポイント)と好調のライダーがこぞってその差を詰めている。
展開によってはこの順位が大きくひっくり返る可能性も十二分にある。
次戦フランスGP決勝は5月17日。舞台は16年連続・28回目の開催となる伝統のル・マン・ブガッティ・サーキットだ。今シーズン誰がこの混戦から抜け出すのか、それとも思いがけない伏兵・新鋭が混戦に加わるのか――フランスGPも見逃せない。(編集担当:熊谷けい)