メルセデス・ベンツは、2015年上半期新規登録台数が、前年比19.1%増の3万2,677台(2014年:2万7,430台)となり、6月単月と併せ過去最高を更新し、輸入車及びプレミアムブランドとして首位を獲得したと発表した。
かつての限られた人の為の特別なブランドから、いってみればトヨタ<7203>になったメルセデス・ベンツということだろう。2002年に統計が開始されてから、初めてフォルクスワーゲンを追い抜き首位に躍り出たわけである。
内訳を見て行くと、特にCクラスが前年比14.9%増と好調な伸びを示している。「2014-2015・輸入車カーオブザイヤー」、欧州の安全テスト「ユーロNCAP」や「2015ワールドカーオブザイヤー」など、国内外で数多くの最高賞を獲得した事も大きな追い風になっていることは間違いない。
Cクラス以外にも8年ぶりにフルモデルチェンジした高性能モデル「メルセデスAMG C 63」、新型スポーツカー「メルセデスAMG GT」や新世代コンパクトモデル群(A/B/CLA/GLA)の新型ステーションワゴン「CLA シューティングブレーク」を追加するなど商品構成を拡充してきたことが大きいだろう。
下半期もメルセデス・ベンツの攻勢は続く。EクラスとCLSクラスに追加設定された4気筒クリーンディーゼルモデルがCクラスにも登場する。またCクラスにはプラグインハイブリッド、ディーゼルハイブリッドといったパワートレーンも加わる。このディーゼルハイブリッドについては、マツダが2016年度にも日本と欧州で発売するといわれているものだ。しかし、日本初導入ではこれにメルセデス・ベンツが先んじる形になる。
繰り返しになるが、メルセデス・ベンツは間違いなくトヨタの様なフルラインナップを目指していると思われるが、今回の登録台数一位獲得が、その快進撃の大きな節目にあるだろう。もうひとつ「トヨタ化」を象徴するのは、「S 550 Coupe」に右ハンドルモデルが追加されたことだ。これはSクラスクーペ史上、初めてのことである。同社は「顧客からの要望を受けて」と述べているが、このようなリクエストこのモデルに限ったことだけではないだろう。あくまで戦略的な導入である。
ともあれ、メルセデス・ベンツが日本市場で天下を取ろうと、真剣に考えていることがよくわかるし、実際、遂にナンバーワンになったということは同社のみならず、輸入車市場にとっても歴史なことではないだろうか。
それにしても、ドイツのトヨタといっていようなフォルクスワーゲンから首位を奪ったことも何か宿命的なものを感じてしまうのは筆者だけだろうか。(編集担当:久保田雄城)