「終身雇用」という言葉が聞かれなくなって久しい昨今、希望・早期退職者募集を行う企業が増えている。上場企業のうち希望・早期退職者募集を行った企業は上半期で18社となり、前年同期比でマイナス4社となったことが東京商工リサーチの調べでわかった。
2015年上半期(1-6月)に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は18社であった。前年同期の21社と比較して減少している。しかしながら希望・早期退職者の募集人数はシャープの大規模な募集が影響して6,598人にのぼっており、前年同期の3,395人と比較すると人数としては二倍近くに増えている格好だ。
募集または応募人数の最多は、シャープ<6753>(グループ会社を含む)の募集3,500人であった。2位は横河電機<6841>(グループ会社を含む)の応募で1,105人。3位は、サニックス<4651>の募集600人であった。以下、電通<4324>の募集300人、タカギセイコー<4242>の募集230人、丸順<3422>の募集200人となっている。募集または実際の応募人数が100人以上の企業は9社であり、前年と同数であった。
業種別で最も多かったのは、シャープ、ソニー<6758>など電気機器の4社。ついで、情報通信業の3社と続く。このほか、鶏肉問題や異物混入などが経営に影響した日本マクドナルドホールディングス<2702>が早期退職者を募集するほか、大手広告代理店の電通が業績は好調でも従業員の転身を後押しする形で早期退職者募集に踏み切るなどした。
なお過去15年のうちで、希望・早期退職者募集の実施企業数、総募集人数ともに最も多かったのは2002年で、その人数は39,732人に及んだ。次に多かったのが、2001年の32,917人。リーマンショックのあった2009年は22,950人と人数こそ多くないものの、実施企業者数は200社近くとなっており、2002年に次ぐ企業の多さであった。2010年以降は年ごとのばらつきがあれど減少しており、2015年は実施企業者数は最少となっていた。(編集担当:堺不二子)。