三菱重工がコンテナ型の1500kWガスエンジン発電設備を開発

2012年06月27日 11:00

 三菱重工業が、コンテナ型のガスエンジン発電設備「MEGANINJA(メガニンジャ)」を開発、販売を開始したと発表。現地到着後24時間以内に発電を開始できるのが特長で、電力不足地域を抱える新興国などを中心に、非常・緊急対応用電源向け需要なども含め、国内外で幅広い市場の開拓を目指す。

 多くの新興国では、送電網などのインフラ整備の遅れなどにより電力不足地域が存在しており、対策として分散型電源システムに対するニーズが高まっている。しかし、従来の据え置き型発電設備の場合、設置場所の基礎工事や設置後の配線・配管作業などといった現地作業が必要で、据え付け開始から稼働までに1ヵ月程度の準備期間を織り込む必要があった。

 こうした状況を受けて三菱重工は、「素早く移動・素早く設置・素早く発電」を製品コンセプトに、「MEGANINJA(メガニンジャ)」を開発。ISO規格の40フィートコンテナ(長さ約12m)内に、ガスエンジン、発電機、燃料ガスの圧縮機、制御盤などの装置を搭載。発電出力は1500kWで、複数台の連結運転により発電量の拡大も容易にできるという。また、温水熱交換器や排ガス蒸気ボイラーなどを内蔵した20フィートの排熱回収コンテナを同時に使うことにより、コージェネレーション(熱電併給)にも対応。さらに、「置くだけ工法」を採用することにより現地作業の大幅削減を実現。設置に必要なスペースや配線および燃料配管の接続部となるコネクターの位置がわかる外観図や要望事項をあらかじめ顧客側に提出、その際、電気や燃料を供給する側のコネクターを顧客に届けることにより、設備の到着までの間に設置スペースの確保や接続準備作業を完了させることが可能であるため、現地到着後24時間以内の稼働を実現している。

 同機はすでに、中国の東莞新奥燃気集団(広東省東莞市)より初号機および2号機を受注し、現地への納品も完了している。中国は今後もガスエンジン発電設備に対する大きな需要が見込めることから、10月を目途に、同社エンジン事業の中国拠点の上海代表処内に分散型発電エンジニアリングの専門部署を開設、専任スタッフを新たに配置して中国での需要増に応えていく方針だという。しかし、こうした発電設備をより必要としているのは、アフリカ諸国を中心とする途上国ではないだろうか。中国を足がかりに、そうした国々での一日も早い展開を期待したい。