7月の「東日本大震災」関連倒産は過去最少の7件

2015年08月07日 08:34

 東京商工リサーチは「東日本大震災」関連倒産(7月速報値)を発表した。それによると、7月の「東日本大震災」関連倒産は速報値ながら過去最少の7件(7月31日現在)にとどまった。4カ月連続で前年同月を下回り、収束傾向が際立った。ただし、震災からの累計件数は4年を経過して1,639件(7月31日現在)に達しているという。また、負債総額は25億7,400万円で、2カ月連続で前年同月を下回った。

 震災関連倒産は収束傾向を強めているが、震災の影響をいまだに引きずって業績不振から抜け出せない企業がみられる。7月の地区別は、関東4件、東北2件、中部1件の順。このうち、東北は宮城だけだった。

 「震災関連」倒産の累計1,639件を都道府県別にみると、最多は東京の497件(7月2件)。次いで、宮城127件、北海道82件、神奈川と福岡が各68件、千葉62件、岩手59件、茨城57件、群馬55件、栃木と静岡が各47件、大阪44件、福島43件、山形42件、埼玉41件と続く。直接被災地の東北6県の倒産件数は319件(構成比19.4%)だった。

 「震災関連」倒産の累計1,639件を産業別にみると、最多は宿泊業・飲食店などを含むサービス業他の432件(7月3件)。次いで、製造業が378件(同1件)、卸売業が304件(同3件)、建設業が199件(同ゼロ)、小売業が150件(同ゼロ)と続く。

 被害型で分類すると、「間接型」1,504件(構成比91.7%)に対し、「直接型」は135件(同8.2%)だった。7月は「直接型」が1件(宮城)。

 7月の倒産事例として、温泉旅館経営の株式会社住久(TSR企業コード:140271422、宮城県)は、熱帯植物園が隣接する純和風旅館として営業していたが、東日本大震災で一時休業を余儀なくされたうえ、災害損失などの影響から低収益な経営が続いていた。その後も業績を立て直すことができず、2014年5月期の売上高は2億円を下回り、自力再建は困難と判断して民事再生手続きを申請した。

 また、民宿経営の五季有限会社(TSRコード:430203160、静岡県)は、海鮮料理を売り物に2カ所で営業していた。しかし、東日本大震災の発生により浜岡原発に近いと言う立地が災いし、風評被害もあって客足が激減した。以降は業績を回復することができず、借入金の返済原資の確保が出来ず事業継続を断念して破産を申請した。(編集担当:慶尾六郎)