15年上半期の「円安関連倒産」は231件 4期連続の増加

2015年07月10日 08:49

画・外形標準課税拡充で地方企業負担増 都市部と格差広がる可能性

食品や繊維・アパレルなど原材料を輸入に依存する業界への影響は大きく、中小・零細業者を中心とする関連倒産がさらに増えるおそれもあるという

 先月2日に一時1ドル=約125円台まで進んだ円安。このまま円安傾向が続けば、大企業を中心とする輸出企業の収益は一段と改善する一方で、食品や繊維・アパレルなど原材料を輸入に依存する業界への影響は大きく、中小・零細業者を中心とする関連倒産がさらに増えるおそれもあるという。このような中、帝国データバンクの調査によると、2015年上半期の「円安関連倒産」は231件判明し、前期比は15.5%(31件)の増加となった。

 帝国データバンクは、2013年1月から 2015年6月までの倒産企業(負債 1000万円以上、法的整理のみ)の中から、円安の影響を受けて倒産した企業を抽出し、件数・負債推移、地域別、業種細分類別、負債規模別に集計・分析した。

 詳しく見ると、2015年上半期の「円安関連倒産」は 231件判明し、前期比は 15.5%(31件)の増加、前年同期比も 59.3%(86件)の大幅増加となり、集計開始の2013年上半期以降で、半期ベースで4期連続の前期比増加となった。なお、2015年上半期の倒産企業の従業員数は 5318人を数え、前年同期(2380人)に比べて123.4%増と倍増している。全体の倒産減少を受けて6月単月では前月をわずかに下回ってはいるが、円安の影響を受けた関連倒産は全国各地で判明するなど、依然として高水準が続いているとした。

 地域別に見ると、2015年上半期は「関東」が東京都を中心に 94件(構成比 40.7%)でトップ。業種的には、繊維・衣服・繊維製品卸売(21件)、運輸業(18件)の倒産が目立つ。次いで、「中部」「近畿」(各32件)、「九州」(24件)の順となった。都道府県別に見ると、全国38の都道府県で判明するなど、円安関連倒産は全国各地に広がっているとしている。

 業種細分類別に見ると、2015年上半期は「運輸業」が 52件(構成比22.5%)でトップ。最近の燃料価格の再上昇が、最後の追い討ちとなったケースが目立つ。次いで、「繊維・衣服・繊維製品卸売業」の34件(同14.7%)で、前年同期の 8 件から325.0%(26件)の大幅増加。「食料品・飼料・飲料製造業」も21件(同9.1%)を数え、前年同期比200.0%の大幅増加となるなど、件数上位の業種を見ると、繊維・アパレル、食料品関連が目立っている。

 負債規模別に見ると、2015年上半期は「1億円以上5億円未満」が99件(構成比42.9%)を数え、全体の4割超を占めた。次いで、「5000万円以上1億円未満」が47件(同20.3%)、「5000万円未満」が35件(同15.2%)で続いており、いずれも前年同期の2.6倍を超えるなど、中小・零細企業の倒産が目立つ結果となった。他方、負債10億円以上の倒産は23件(構成比10.0%)にとどまり、同100億円以上の大型倒産もスカイマーク(株)(負債710億8800 万円)の1社のみとなった。(編集担当:慶尾六郎)