長崎市の田上富久市長は9日の長崎平和祈念式で「日本国憲法の平和の理念が、今、揺らいでいるのではないかという不安と懸念が広がっている」との認識を示したうえで「政府と国会には、この不安と懸念の声に耳を傾け、英知を結集し、慎重で真摯な審議を行うことを求める」と『長崎平和宣言』の中で危機感を示し、安保法案への慎重審議を求めた。
また「日本政府に訴えます」と前置きしたうえで「国の安全保障は核抑止力に頼らない方法を検討してください」とアピールした。
田上市長は、平和宣言で「アメリカ、日本、韓国、中国など多くの国の研究者が提案しているように、北東アジア非核兵器地帯の設立によって(核抑止力に頼らないことは)可能」と訴え「未来を見据え、“核の傘”から“非核の傘”への転換について、ぜひ検討してください」と訴えた。
また、平和宣言のなかで「日本がアジアの多くの人々を苦しめた」と表現したほか、憲法について「日本国憲法における平和の理念は辛く厳しい経験と戦争の反省の中から生まれた」と位置付けた。
そのうえで「戦後、我が国は平和国家としての道を歩んできた」とし「長崎にとっても、日本にとっても、戦争をしないという平和の理念は永久に変えてはならない原点だ」と訴えた。
また「私たち一人ひとりの力こそが、戦争と核兵器のない世界を実現する最大の力」と呼びかけ「市民社会の力は、政府を動かし、世界を動かす力なのです」と一人一人の平和への意識、行動の重さを訴えた。(編集担当:森高龍二)