富士フイルムが、肌に照射された光の、肌内部での状態を可視化・定量評価する手法を確立。「にごり」や透明感という肌の見え方と肌内部での光の状態との関係性を解明したと発表した。
多くの女性の肌悩みである、透明感がなく暗くくすんだ印象を与える肌の「にごり」は、これまでキメの乱れや毛穴の広がりなど、肌表面の凹凸が主な要因と考えられていた。しかし、富士フイルムが偏光画像解析および光干渉断層画像(OCT)解析を用いて光学的に解析を実施したところ、明るく透明感のある「にごりのない肌」は「にごりのある肌」に比べて、光が当たった時に、肌の内部から戻ってくる光量が多くその光が肌全体から均一に戻ってくることが判明。さらに、表皮層内で光の進行が阻害されず深い真皮層から多くの光が戻ってきていることが分かったという。
この結果は、「にごりのある肌」では、表皮層内で光が散乱することで表面に戻ってくる光が不均一になる、さらに真皮層へ到達する光が少なくなるため、真皮層から戻ってくる光も少ないことを示唆しており、これらの現象が、肌が暗く、くすんで見える原因の一つと考えられるという。そして富士フイルムでは、表皮層内で光が散乱してしまう原因として、表皮層内での細胞の配列や形状の乱れにより光の進行が妨げられていると推定している。
今後、このメカニズムの解明を進めるとともに、スキンケア化粧品の開発に活かしていくという富士フイルム。光と肌の関係の解明は、約1兆円と成熟している国内のスキンケア市場を、さらに拡大させる素因となるのか。今後の動向に注目が集まりそうである。