【今週の振返り】中国発世界景気減速懸念で1083円下落した週

2015年08月22日 20:32

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ギリシャの債務問題、上海市場の暴落、人民元の切り下げに世界が揺れても、「漂えど沈まず」だった東京市場。だが〃神話〃はズタズタに引き裂かれた。

 21日の日経平均は4日続落し2万円の大台割れ。NYダウは3日続落し358ドル安。3年9ヵ月ぶりの大幅安で心理的節目の17000ドルを下回り年初来安値を更新し2014年10月29日以来の安値になる。NASDAQは3ケタ安で7月10日以来の5000割れ。ギリシャは20日が期限のECB向け債務を返済したがチプラス首相が辞意を表明し9月にまた総選挙が行われる。ヨーロッパ市場は全面安で世界同時株安の様相。中古住宅販売件数はマイナスの市場予測を良い方に裏切る+2%で8年5ヵ月ぶりの高水準になり、フィラデルフィア連銀製造業景況感指数も大幅に上昇。新規失業保険申請件数が市場予測より悪くても雇用情勢は依然堅調だが、中国発の世界経済の減速懸念の大きな流れには全く逆らえない。リスクオフで金先物価格は連日大幅上昇。原油先物は40ドル割れ寸前で止まって上昇。為替のドル円は123円台前半、ユーロ円は138円台後半でドルに対し円高が進行した。CME先物清算値は19605円まで下がった。

 韓国と北朝鮮が軍事境界線をはさんで砲弾を撃ちあい、朝鮮半島の「地政学的リスク」まで意識されて終値2万円割れ覚悟の日経平均は322円安の19711円で始まる。TOPIXは1600を割り込んでスタート。取引開始時点では売り気配で値がついていない銘柄が多いため、2分後には19700円を割り込み、午前9時9分に19638円まで下落して止まる。いったん19700円にタッチするが、再び徐々に下落し10時14分に19637円で安値更新。今まで大事に守ってきたものが突破されると、ズルズルいってしまうのが心理的節目というもの。「私を変えた悪いあなた」の上海市場はこの日もマイナスで始まり、日経平均は「こころ千々に乱れて」19600円をはさんだ乱高下。10時35分に19559円の安値をつけた。11時台になると上海の下げ幅圧縮にお付き合いして19650円を超えても、急に邪険に突き放されたかのように再び19600円割れ。前引けは420円安の19612円だった。

 黒田電気<7517>は臨時株主総会を開催し、村上世彰氏ら4人を社外取締役とする議案を否決した。海外投資家の心証は悪い。上海は3%を超える下落で午前の取引を終了。日経平均は下げ幅を拡大して午後0時32分に19554円の安値を更新。19600円にいったんタッチしても19500円台後半での低迷が続く。1時に食品スーパー売上高が発表され1.7%増、2時に全国スーパー売上高が発表され1.9%増で、ともに4カ月連続のプラス。「地方創生」の目玉?プレミアム商品券が効果をあげていた。19日発表の全国百貨店売上高も前日発表の全国コンビニエンスストア売上高もプラスで、小売業の7月の販売データは悪くなかった。しかし日経平均は無関係にひたすら下げ続ける。1時台後半には19500円台前半に下がり、上海市場で午後の取引が再開して下げ幅を拡大した2時台にはさらに7月9日以来の19500円割れ。前日終値比のマイナスは500円を超えた。2時21分には19450円の安値をつける。前週末以来の下落幅は1000円を超え、「利益確定売りの金曜日」というより「損切りして手放す金曜日」か?

 終盤も19500円台に戻しそうで戻せないと思っていると、最後はダメ押しで下げ幅を拡大し今年2番目の下落幅597円安の19435円で安値引け。5月8日以来の低水準。TOPIXも-50で安値引けになり、ともに4日続落した。日経平均先物日中取引は610円安で終えた。上海は4.27%の大幅下落だった。

 日経平均終値は597.69円安の19435.83円、TOPIX終値は-50.87の1573.01。売買高は27億株、売買代金は3兆1914億円と3兆円超え。値上がり銘柄数はたったの33、値下がり銘柄数は1854。全33業種がマイナスで、下落幅が小さかったのは石油・石炭、鉱業、卸売、パルプ・紙、鉄鋼、小売など。下落幅が大きかったのは保険、その他製品、不動産、その他金融、銀行、電気・ガスなどだった。

 今週の星取は1勝4敗。前週末14日の20519.45円から1083.62円下落して今週の取引を終えた。週間騰落が1000円を超えるマイナスになったのは2014年4月7~11日の週の1103円安以来、1年4ヵ月ぶりだった。(編集担当:寺尾淳)