【今週の振返り】チャイナリスクが燃えさかり205円下落した週

2015年08月15日 20:33

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中国人民銀行が3日連続の人民元切り下げ。「8月には、何かが起こる」というグローバルマーケットのアノマリーは、今年もしっかりと維持された。

 10日の日経平均は4日続伸。NYダウは46ドル安で、債務上限問題や米国債格下げが起きた2011年以来4年ぶりの7営業日続落で、2月2日以来の安値水準。7月の雇用統計は失業率は5.3%で横ばい、非農業部門雇用者数は市場予測より1万人低い21.5万人だった。市場予測よりやや低いのは6月と同じだったが、「良すぎることも悪すぎることもなく、ちょうどいい」ではなく「9月利上げ実施には十分な雇用改善」と解釈され、長期金利が上昇してドルが買われ株価は下がった。CME先物清算値は20650円。為替レートは発表直後は乱高下したが、10日朝方はドル円は124円台前半、ユーロ円は136円台前半で、前週末より少し円高に振れていた。

 7日の大引け後にJPX日経400の定期銘柄入れ替えが発表された。渦中の東芝<6502>をはじめ日本マクドナルドHD<2702>、昭和電工<4004>、出光興産<5019>、JXHD<5020>、ユニーGHD<8270>、LIXILG<5938>、アイフル<8515>、ヤマダ電機<9831>など42銘柄が除外され、上場廃止による空席1銘柄分を含めて43銘柄が採用された。大林組<1802>、清水建設<1803>、ミクシィ<2127>、住友化学<4005>、神戸製鋼所<5406>、NEC<6701>、アルプス電気<6770>、ヤマハ<7951>の他、不祥事を起こしたオリンパス<7733>、大王製紙<3880>も加わった。前週、「採用有力」予想ではやされ株価が上昇していた東京電力<9501>の採用は見送られた。実際に指数の算出対象から除外、採用されるのは8月31日の大引け後になる。

 財務省が発表した上半期(1~6月)の国際収支速報値の経常収支は、「爆買い」など訪日外国人の消費にも支えられて8兆1835億円の黒字で、上半期では2年ぶりに黒字転換した。6月の経常収支は12ヵ月連続黒字。上半期の貿易収支は4220億円の赤字。日経平均はNYダウの7日続落を受けて106円安の20618円で始まる。TOPIXもマイナスで今週スタート。JPX日経400の除外、採用に伴う売り買いが一巡すると序盤は下げ幅をどんどん圧縮し午前9時51分に16円安の20708円まで上昇。その後も20700円に何度もタッチする。上海市場はプラスで始まっても上げ幅を圧縮したため日経平均は伸びが止まって20700円にタッチできなくなるが、ボロボロにされた前週前半までと比べればカワイイもの。11時台に入ると上海市場の上昇を反映したのか再び20700円台に乗せ、前引けは12円安の20712円で、TOPIXとともに前場高値引けした。

 プラス転換の期待を集めて後場は小幅マイナスで再開し、すかさずプラスに。TOPIXもほぼ同時にプラスに浮上した。上海の午前の取引は3%を超える上昇をみせほぼ高値引けで終了し、日本時間の2時まで昼休み。しばらく20730~20760円の小幅プラス圏で推移するが、午後1時30分頃から上値追いが始まり1時45分に20803円まで上昇する。その後は20800円台にタッチはしても定着はできない。2時に内閣府が7月の消費動向調査を発表。消費者態度指数は-1.4ポイントの40.3と低下し、基調判断は「足踏みがみられる」に下方修正された。庶民レベルの景気減速感は3時発表の景気ウォッチャー調査でも確認されるが大引け後。もっとも、上海総合指数が+4%を超えて堅調なので日経平均は下がらない。終盤は20800円を突破してさらに上昇し、高値更新を繰り返しながら2時59分に20820円まで上がる。大引けでは少しだけ抑えられ84円高の20808円で4日続伸。始値からほぼ上昇一方で190円も上がり、7月21日以来の20800円台。TOPIXは高値引けで年初来高値を更新し9日続伸。2007年7月31日以来8年ぶりの高値水準に達した。除外銘柄が月末まで残るJPX日経400も年初来高値更新。国有企業改革のニュースを受けて上海市場は4.91%の上昇をみせた。

 日経平均終値は84.13円高の20808.69円、TOPIX終値は+12.10の1691.29。売買高は21億株、売買代金は2兆6579億円。値上がり銘柄数は1367、値下がり銘柄数は447。25業種が上昇し、上位は繊維、その他製品、パルプ・紙、情報・通信、陸運、空運、医薬品など。8業種が下落し、下位は鉱業、ゴム製品、機械、ガラス・土石、鉄鋼、非鉄金属、金属製品などだった。

 11日の日経平均は5日ぶりに反落。週明けのNYダウは241ドル高で8営業日ぶりの反発。やっと夜明けがきた。上海市場の大幅高、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイによる大型M&Aのニュース、FRBのフィッシャー副議長の利上げは物価上昇が条件だとする9月利上げ説に否定的な発言などが刺激になった。原油先物は上昇。ドル円は利上げが遠のけば上値は重く124円台後半、ユーロはギリシャ支援の合意近しのニュースに反応して買われ137円台前半。CME先物清算値は20905円と高かった。

 前日大引け後3時に発表された7月の景気ウォッチャー調査は、現状判断指数は51.6で前月比+0.6ポイント。猛暑効果が出て3ヵ月ぶりに改善した。先行判断指数は51.9で-1.6ポイント。2ヵ月連続で悪化した。現状判断は消費者態度指数の悪化とはちぐはぐな数字で、良いのか悪いのか判断に迷いそうな結果になった。