【今週の展望】「2万円再チャレンジ」の条件は整ったのか?

2015年08月30日 20:37

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怖いのは「いつも通りの平穏な日々」に安心してしまい、今の株価水準が危機後の「ニューオーダー(新秩序)」として定着してしまうこと。

 今週、8月第5週、9月第1週(8月31日、9月1~4日)は5日間の取引。7月の梅雨明けから続いた猛暑、戦後70年、国内外で相次いだ爆発、出火、中国発のグローバルマーケットの大混乱など騒々しかった8月も月曜日で終わり、火曜日から9月に入る。静かな秋がやってくるか?

 世界の主要な株式市場の休場日は、8月31日は英国のロンドン市場がサマーバンクホリデー(銀行休業日)で休場する。マレーシアが「メルデカ・デー(国家記念日/独立記念日)」で休場する。1957年に英国から独立した日。フィリピンが「英雄の日」の振替休日で休場する。独立運動の英雄とともに、送金でフィリピン経済を助ける海外出稼ぎ労働者も英雄視して讃える移動祝祭日。

 9月2日はベトナムが「建国記念日」で休場する。1945年にホーチミン(ベトナム民主共和国初代主席)がフランスからの独立を宣言した日。同じ日に東京湾の戦艦ミズーリ号の甲板上で日本の重光葵外相(当時)が降伏文書に調印し、第二次世界大戦が正式に終了した。翌3日は上海市場など中国本土市場と香港市場が「中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争勝利70周年記念日」で今年に限って特別休日で休場する。中国本土市場は4日も休場するので、真夏の東京市場を混乱に陥れた上海市場は今週、9月2日までの3日間の取引になる。

 国内の経済指標は、8月31日朝の鉱工業生産指数速報値にまず注目。中国の景気減速の影響が大きければ、今週の株価回復にいきなり水を差す。同じ日の概算要求のニュースにも要注意。国土交通省あたりが大きな数字を出すと、本予算ではなく補正予算、あるいは15ヵ月予算(補正予算と本予算の一体編成)という話になってくるかもしれない。

 8月31日は7月の鉱工業生産指数速報値、9月1日は4~6月期の法人企業統計、8月の新車販売台数、2日は8月のマネタリーベース、4日は7月の毎月勤労統計調査(所定内賃金など)が、それぞれ発表される。8月31日は来年度予算の概算要求の提出期限日。

 主要銘柄の決算発表は7月期本決算や、7月で四半期を締める少数派がちらほら。8月31日は4~6月期決算の発表が遅れていた東芝<6502>、パーク24<4666>、菱洋エレクトロ<8068>、9月1日は伊藤園<2593>、内田洋行<8057>、2日はロックフィールド<2910>、3日は日本駐車場開発<2353>、くらコーポレーション<2695>、クミアイ化学工業<4996>、三井ハイテック<6966>、4日はカナモト<9678>、モロゾフ<2217>が発表する。

 今週の新規IPOは3件。いずれも東証マザーズで個性派が揃っている。

 8月31日にアクアライン<6173>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で水まわり緊急修理サービスの「水道屋本舗」を展開する。公開価格は1250円。川崎市と木更津市を結ぶ東京湾横断道路とは無関係。

 2日にベステラ<1433>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社でプラント解体工事に関するエンジニアリング、マネジメント業務を行う。公開価格は2500円。隠れた優良企業が少なくない専門工事業。

 同じ2日にSTUDIOUS(ステュディオス)<3415>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社でファッションのセレクトショップ「STUDIOUS」、オリジナルブランドの「UNITED TOKYO」を運営する。公開価格は2870円。STUDIOUSは英語で、スタジオではなく「勉強好き」という意味。

 なお、9月1日に東証1部に上場するパイプドHD<3919>は、パイプドビッツ<3831>の純粋持株会社化に伴うもので新規上場ではない。

 海外の経済指標は9月4日発表のアメリカ雇用統計が最も重要で、「前座」のADP雇用統計は2日発表。1日のISM製造業景況感指数、3日のISM非製造業景況感指数も見逃せない。中国発の混乱はマーケットの中だけにとどまっているのか、それとも商品市場などを通じ実体経済にも影響を及ぼしているのか判明する。週末のG20の主役もやはり中国だろう。タイム誌の「今年の顔」の最有力候補は五星紅旗か? 習近平国家主席か?

 8月31日はユーロ圏の8月の消費者物価指数(CPI)、アメリカの8月のシカゴ購買部協会景気指数、9月1日は中国物流購入連合会/国家統計局の8月の製造業購買担当者景気指数(PMI)、アメリカの8月の新車販売台数、ISM製造業景況感指数、2日はオーストラリアの4~6月期の国内総生産(GDP)、アメリカの8月のADP雇用統計、3日はアメリカの7月の貿易収支、8月のISM非製造業景況感指数、4日はユーロ圏の4~6月期の域内総生産(GDP)改定値、アメリカの8月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)が、それぞれ発表される。

 9月1日にオーストラリア、2日にブラジルで政策金利が発表される。2日に韓国の朴槿恵大統領が中国を訪問する。アメリカFRBからベージュブック(地区連銀経済報告)が公表される。3日にECB(欧州中央銀行)定例理事会が開かれ、ドラギ総裁が記者会見を行う。ギリシャはもう心配いらないのか確認できる。4~5日にトルコの首都アンカラでG20財務相・中央銀行総裁会議が開かれる。イエレンFRB議長もドラギECB総裁も黒田日銀総裁も出席する予定。