ニーズ高まる産業用ロボット オムロンが米国の産業用ロボットメーカーを約2億100万米ドルで買収

2015年09月21日 17:02

 現在、世界中の製造業が、コスト削減、供給サイクル短縮、グローバルな事業運営などを追求するうえで、生産性の向上を大きな課題ととらえており、ものづくりは世界中で大きな転換期を迎えている。生産人材の不足や人件費の高騰などの社会課題を背景に、製造業における自動化のニーズが高まっており、その解決策の一つとしてロボットによる製造過程の高度な自動化がある。

 今回、オムロン<6645>と米国の産業用ロボットメーカー「アデプト テクノロジー社」は、オムロンがアデプト社を買収する契約を締結した。

 オムロンは株式公開買付を通じてアデプト社の株式を取得し、続いて合併を実施する事で、アデプト社を完全子会社にする計画。オムロンはアデプト社の株式について、9月15日の終値から63%のプレミアムに相当する1株あたり13ドルでの購入をアデプト社の株主に提案する予定。この価格によるアデプト社の買収額は約2億100万米ドルとなる。

 この公開買付は2015年9月23日(米国時間)に開始する予定。①買い付けた株式数がアデプト社の株式の過半数に達する、②所轄当局による承認を得る、③およびその他の一般的な完了条件が満たされること、この3つを前提として2015年10月22日(米国時間)に終了する予定である。

 買収の完了後、ロブ・ケインは引き続きアデプト社の経営に携わり、オムロンの米州統括会社であるオムロンマネジメントセンターオブアメリカ会長兼社長兼CEOのナイジェル・ブレイクウェイの直属となる。

 アデプト社は米国を拠点とする産業用ロボットメーカーのリーディングカンパニー。製造業の多様なニーズに対応できる幅広い品ぞろえとともに、多様なロボットを制御する技術や、ロボットの目となるビジョンセンサー技術を保有していることを強みとしているという。特にロボット制御技術では、高速性となめらかな軌跡制御の両方を実現する技術を持ち、ロボット性能のカギとなる繰り返し精度において、業界最速の性能を達成している。
 
 今回の買収は、製造業界に自動化システムを提供する、オムロンのインダストリアルオートメーションビジネスの強みであり、世界で最も充実した技術を持つ、ILO+S(インプット、 ロジック、アウトプット + セーフティ)をさらに加速する取り組みの一環。ILO+Sと同じ制御プラットフォーム上に、コンポのR(ロボット)がシームレスかつフレキシブルにつながることで、「ILO+S+R」への進化を遂げ、顧客のものづくりの課題に応えていく方針だ。(編集担当:慶尾六郎)