国内生命保険2位の日本生命保険が、8位の三井生命保険を買収するとの正式発表を行った。人口減少により国内の市場が先細りするなか、日本生命保険はこの買収により圧倒的な基盤を構築したい考えだ。また、三井生命保険も日本生命保険の子会社となることで、形勢基盤の安定化と企業の信用力の向上をはかりたい考えだ。
11日、日本生命保険は三井生命保険を買収すると正式発表。2016年3月末までに経営統合し、三井生命保険の株式約85%を取得して子会社化する。買い付け価格などの具体的な条件は決定次第公表される予定で、三井生命保険の株式の残る15%は、三井住友銀行など三井グループが保有する予定で保有比率やその方法も決定次第公表される予定。合併は行わず、三井生命保険の社名やブランドなどは残す。また、同社の保険加入者の契約内容にも変更はない。
日本生命保険は15年3月期の保険料収入で、戦後初めて第一生命保険<8750>に首位を明け渡した。しかし、今回の三井生命保険の買収により、再び首位に返り咲くこととなる。生命保険業界では、第一生命保険、明治安田生命保険、住友生命保険などによりアメリカの保険会社の買収が積極的に行われている。日本生命保険もオーストラリア大手銀行のナショナル・オーストラリア銀行傘下の保険事業の買収を協議しているが、まずは海外ではなく国内の基盤強化を急ぐ形となった。なお、日本生命保険は3月に国内外で1兆5000億円規模のM&A(合併・買収)を行う計画を立てており、今回の買収金額は未定だが3000億円前後とみられており、この金額に沿って考えると、三井生命保険の買収が実現しても1兆円事情の資金が残ることとなる。
国内の生命保険市場では、人口減少を背景に競争が激化している。それにともない、生命保険会社再編が再び起ころうとしている。04年には明治生命保険と安田生命保険が合併して明治安田生命保険が生まれている。そして同年には大同生命保険と太陽生命保険が経営統合しT&Dホールディングス<8795>が発足。今回の日本生命保険による三井生命保険の買収は、これらの次ぐ約11年ぶりの大きな再編となる。(編集担当:滝川幸平)