震災復興と帰還住民を支える「福島県立大野病院附属ふたば復興診療所(仮称)」着工

2015年09月26日 18:24

「県立大野病院附属ふたば復興診療所(仮称)」起工式

「福島県立大野病院附属ふたば復興診療所(仮称)」の着工式が、9月16日、福島県楢葉町で、内堀雅雄・福島県知事、松本幸英・楢葉町長ほか出席のもと行われた。楢葉町は9月5日に全町避難した自治体で初めて避難指示区域が解除された町だ。

 「福島県立大野病院附属ふたば復興診療所(仮称)」の着工式が、9月16日、福島県楢葉町で、内堀雅雄・福島県知事、松本幸英・楢葉町長ほか出席のもと行われた。2015年12月竣工、16年2月の開所を目指している。楢葉町は9月5日に全町避難した自治体で初めて避難指示区域が解除された町だ。

 この診療所は、帰還する町民の暮らしの再生と町の復興のために、落ち着いた暮らしができる生活拠点を目指して計画されている「コンパクトタウン」エリア内の医療・福祉エリアに位置しており、内科と整形外科が設置される予定だ。福島県病院局によると、双葉地域の復興および住民の帰還に向けた環境を整えるため、医療提供体制を整備し県民の立場に立った良質な医療サービスを提供するとしている。

 避難指示区域の解除を受けて、松本幸英町長は、4年以上にわたる避難生活により、住民の健康維持や、地域が築き上げてきた大切な文化や伝統、コミュニティが失われるなどの弊害もあり、避難生活の更なる長期化は決して望ましいものではないとしている。

 そういった意味において、町民の帰還が可能となることは、福島第一原子力発電所の周辺地域の復興に向けた大きな節目だろう。

 生活エリアの除染が完了し、ライフラインが復旧した次に必要なのは、生活環境の再生・整備だろう。買い物はコンビニと仮設スーパーだけ、小中学校も当分の間は再開しない。これでは帰還をしたくてもできないというのが現実だろう。そんな中、今回の「福島県立大野病院附属ふたば復興診療所(仮称)」着工は、帰還への確実な一歩ではないだろうか。

 式典では、内堀雅雄県知事が「住民の皆さんの身近な医療施設としてしっかり機能することが間違いなくふるさとへの帰還を促進するひとつの手助けになると考えている」と述べ、松本幸英町長も「診療所が町民の大きな希望になる」とコメントしている。

 今回福島県が実施するこの事業は、積水ハウス<1928>と、不二代建設が企業グループとして応募して、事業者として選定されたものだ。

 両社は、これまでの災害公営住宅などの建築実績や積水ハウスの医療・介護施設の専門コンサルティング組織である「医療・介護推進事業部」による、患者の診療環境やプライバシー、高齢者に配慮した設計などで、復興拠点の早期整備に貢献するとしている。

 積水ハウスは、これまでにも、宮城県東松島市と「東松島スマート防災エコタウン」の85戸の災害公営住宅の企画・設計から建築まで一貫して担ったりと、積極的に東北の復興に関わっている。

 また、不二代建設は1969年創業の福島県いわき市に本社を置く、建設・不動産会社で、白岩社長は、「社会に役立つことが企業使命」と述べており、そういったことから積水ハウスと同じく積極的に地元である東北の復興に関わっている。

 ともあれ町民全員の帰還が実現するような生活環境の整備が1日も早く行われることを切に願いたい。(編集担当:久保田雄城)