最先端ヘルスケア機能性素材、2013年も顕著な伸びを期待

2013年01月21日 08:22

  総合マーケティングビジネスの富士経済は、化粧品や医薬品・医薬部外品、また試薬・培地や再生医療、トイレタリーなどを製品化する時に必要とされる有効成分や添加物など機能性素材の原材料の国内市場最新動向を2012年9月から11月にかけ調査・分析し発表した。

 2012年の最先端ヘルスケア機能性素材34品目の国内市場は505億円となっており今や安定市場となっている。化粧品関連では、超微粒子酸化チタンや超微粒子酸化亜鉛などのUVケア関連の素材、アルブチン、ハイドロキノンといった美白関連の素材が特に堅調に推移。一方、医薬品関連では、ポリビニルピロリドンやD‐マンニトールなどの口腔内崩壊錠向けが堅調であり、新規素材に関しては国内では長期間、許認可に要することから、素材メーカーは需要先を求め海外展開を視野に入れている。そのためあらかじめ欧米規格で開発を進める素材メーカーも多いという。

  今回の調査ではポリビニルピロリドン、D―マンニトール、メタクリル酸コポリマーLD、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム、特殊アミノ酸、リベラーゼ、オリゴ乳酸など40品目の機能性素材が対象。その内、34品目については市場の現状と将来を予測している。

 注目市場として挙げられる素材の1つが「プロテオグリカン」。2012年の市場は前年比28.6%増の1.8億円が見込まれており、2014年の売上予測は3.1憶円となっている。医療分野では骨粗鬆症をチェックするマーカーや病者用食品、抗炎症剤などへの採用が期待されているという。

  「プロテオグリカン」は、コアタンパク質にグリコサミノグリカンと呼ばれる糖鎖が1~100本以上共有結合した糖タンパク質複合体。従来は牛の気管軟骨、豚皮、ニワトリのトサカなどから抽出していたが、新たな抽出技術が開発され現在はサケ鼻軟骨から高精製プロテオグリカンの大量抽出が可能となっているようだ。これまで研究は弘前大学が1970年代より開始しており、1998年からは青森市の商社である角弘と共同で化粧品や健康食品などへの応用研究が推進。現在、同素材の市場を牽引しているのは、弘前大学や角弘と共に素材研究を続けてきた一丸ファルコスで2009年に化粧品向けを、2010年には健康食品向けを発売している。また「プロテオグリカン」は、化粧品ではドクターシーラボの「LaboLaboスーパーモイストローション」、健康食品(サプリメント)ではDHCの「II 型コラーゲン+プロテオグリカン」などにも採用されている。

 近年、生活習慣病は深刻を極めており、またそれに伴い消費者の健康への関心も相変わらず高い。そのため、健康食品開発への期待は非常に大きいが、安全性、有効性の検証も難しく、食品・化粧品メーカー、大学や各研究機関などは有効成分や添加物などの機能性素材の研究を積極的に実施しつつ、新たな利用方法と安全性を常に検証している。

  今後は化粧品や医薬品などを取り扱う各企業が、優れた機能性素材をいかに有効利用した製品を誕生させるのか、その提案力が企業間競争を勝ち抜くポイントになるとも考えられる。(編集担当:宮園奈美)