中谷元防衛大臣は11日のNHK番組で、司会者から日本経済団体連合会は防衛装備・武器輸出を国家戦略にすべきとまでの提言があるが、大臣はどう考えるかと聞かれ「防衛装備庁が10月1日に発足したが、武器輸出を積極的にする方針に転換し、輸出を大幅に解禁するということはない」と断言した。
中谷防衛大臣は「武器輸出でなく、移転だ」としたうえで「昨年、防衛装備移転3原則ができた。目的は国際社会の平和と安定への積極的な貢献、諸外国との安全保障強化であり、防衛装備移転3原則のもと、平和国家の理念を維持し、政府の関与と管理の下にきちんとすすめていく」と答えた。
中谷防衛大臣は武器の移転については「国連決議に基づくような行動をしていない国、日本と安全保障にかかわる国との間だけであり、厳格な対処の下でやっていく」と答えた。
日本経済団体連合会は先月、「防衛装備品の海外移転を国家戦略として推進すべき」とした「防衛産業政策の実行に向けた提言」を行い、「自衛隊の活動を支える防衛産業の役割は一層高まり、その基盤の維持・強化には国際競争力や事業継続性等の確保の観点を含めた中長期的な展望が必要」などと、軍需産業の国際競争力や事業継続に資する武器輸出を推進するよう求めていた。安保法案に反対の野党からは安倍総理と経団連のタッグで「軍事大国に向かうのでは」との懸念の声が出るほど。今後の動向に注視しなければならない。(編集担当:森高龍二)