防衛装備庁が10月1日、発足した。防衛省の各部署に分散していた防衛装備の研究開発や調達、輸出業務を一元管理することを目的としている。これまで陸・海・空の自衛隊が別々に行っていた装備品調達の役割を一括して担うことでコスト削減を目指す。
防衛省の外局、防衛装備庁が10月1日、発足した。防衛省の各部署に分散していた防衛装備の研究開発や調達、輸出業務を一元管理することを目的としている。
これまで陸・海・空の自衛隊が別々に行っていた装備品調達の役割を一括して担うことでコスト削減を目指す。また、各国との折衝の窓口になることで、2014年に武器輸出三原則に代わって新たに制定された「防衛装備移転三原則」に基づき、これまでの武器の国産重視政策を転換し、国際的な共同開発の本格化に向けて動き出す。
中谷元防衛相が同日午前、初代長官となる渡辺秀明技術研究本部長に辞令を交付した。中谷防衛相は、「常に変化をしていく安全保障環境に対して防衛政策に思考停止はあってはならず、新たな態勢のもと、防衛省、自衛隊は、わが国の平和と安全を一層確かなものにするよう期待をされております」と述べ、権限の集約化による汚職を防ぐため、「庁内に監察・監査部門を設置し、監視体制を強化する」と説明した。
装備庁の全職員は1800人。そのうち400人が自衛官。背広組(文官)の運用企画局を廃止し、制服組(武官)の統合幕僚監部に統合する。これにより、背広組と制服組の関係が見直されることとなった。背広組とは防衛官僚のことで、制服組とは自衛官のことを指す。これまでは「文民統制」を根拠に背広組が優位とされていたが、防衛省設置改正法案により背広組と制服組が対等な立場で防衛相に助言できるようになった。
そもそも、今回の防衛装備庁の発足は、元をたどれば今年6月に成立した防衛省設置法改正案に基づくものである。同改正法案の目玉は制服組と背広組の関係見直しであるとされている。これまでの防衛省設置法の条文によると、防衛相が制服組のトップである統合幕僚長らに指示や監督を行う際、背広組の官房長、局長が防衛相を補佐すると規定されていた。
つまり、制服組のトップである統合幕僚長の上に背広組が位置するような規定だったのである。これが改正法案の施行により、背広組が政策的補佐、制服組が軍事的補佐と、それぞれが対等な立場で大臣に対して専門助言を行うことが可能となった。
日本では戦前に軍部が暴走したことの反省から、防衛省では発足当時から背広組優位の規定が存在していた。それがいま見直されるということは、先日の安保法案成立とともに、戦後体制の見直しという大きな流れの一つととらえることができるだろう。(編集担当:久保田雄城)