ペット関連市場、多様化する二ーズに応えるサービス創出が安定のカギ

2013年01月21日 12:16

  日本人の多人数世帯では約半数近くがペットを飼っており、また、1人暮らしの約2割がペットを飼っているようだ。2012年の動物愛護に関する調査(内閣府大臣官房政府広報室調べ)によると、家庭で犬や猫などペットを「飼っている」と答えた者の割合は34.3%となっており、「犬」が58.6%、「猫」30.9%、「魚類」19.4%という順になっているという。

 矢野経済研究所が2012年12月に発表した国内のペットビジネス市場によると、2011年度のペット関連総市場規模は、小売金額ベースで前年度比100.4%のⅠ兆4,033億円とほぼ横ばいで推移している。(調査期間:2012 年9月~11月)

  ペットフード市場は前年度比100.6%の4,383億円と比較的好調であった。同市場はペットフードの大半を占めるドックフード、キャットフードについては高価なプレミアムフードと手頃なエコノミーフードに大別されるが、主にプレミアムフードにおいては年齢別や、種別、さらには肥満やアレルギーといった疾病別など、細分化された商品の投入やラインアップの拡充により、飼い主の多様なニーズに応えている。さらにドックフードと比べ、開発の余地のあるキャットフードに関してペットフードメーカーの多くが商品投入を活発に行った結果、キャットフード分野の飼い主需要を顕在化させ、ペットフード全体のプラス成長に貢献しているようだ。

 またペット用品市場規模は、小売金額ベースで前年度比100.6%の2,484億円であった。都市部を中心に室内飼育が進行していることもあり、トイレ用シーツや猫砂などの室内飼育に必要な用品分野は、成長率は鈍化しているものの、拡大傾向に。ウェットティッシュやデンタルケア用品など新たな用品分野も好調に推移している。ペット周辺ビジネスにおいてはペットを家族やパートナーとするという飼い主の考え方に基づき、飼育可能なマンションの増加やペットホテル、ペットの入場が可能な商業施設の増加など多様な商品やサービスを創出。また、ペット保険や葬送サービスなどといった人間と同様のサービスも多く見受けられ、順調に市場規模を拡大させている。

  しかし国内の消費マインド低迷は継続しており、これまで不況に強く、比較的好調であるとされていたペット関連総市場も全体的には客単価は下落傾向にあることも否めない。1人暮らしで室内飼育を前提としたペットの小型化が進み、またペットが高齢化するという問題もあるなかで、給餌量の減少などは市場全体への影響を及ぼす可能性がある。また不況による先行きへの不安が高まれば、新規でペット飼育を控える動きがさらに顕在化することも考えられる。一方でペットと一緒に買い物やドライブ、旅行など家族のように共生したい考える飼い主も増加している。今後は多様化する消費者の望みをどれだけくみ取っていけるのかが、市場活性化のカギとなるだろう。(編集担当:宮園奈美)