今回の東京モーターショー、ポルシェ・ブースには、ビッグマイナーチェンジを受けた911カレラ4Sが並び、ワールドプレミアとなった。注目はダウンサイジング・ターボエンジンの搭載だ。遂にポルシェにもダウンサイジングのトレンドが押し寄せ、従来の3436ccエンジンが、新型の2981cc水平対向6気筒ツインターボエンジンに換装され、出力&トルクの向上に加えて燃費性能が大きく上がっている。
このポルシェ911のエンジン換装は、スポーツカーの世界においても運動性能を高めながら環境性能アップを両立させることが不可避となったことの証明だ。
新型911カレラ4に搭載するパワーユニットの最高出力は370ps(272kW)/6500rpm、最大トルクは46.0kg.m(450Nm)/1700-5000rpm。カレラ4Sでは、最高出力420ps(309kW)/6500rpm、最大トルク51.0kg.m(500Nm)/1700-5000rpmとなる。ツインターボ化によって幅広い回転域で最大トルクを発生するのが最大のメリットだ。このアウトプットは、いずれも従来の自然吸気エンジンに比べて20psと60Nmのアップとなる。なお、レブリミット(最大許容回転数)は7500rpmで、ターボエンジンとしては異例の高回転型といえる。
組み合わせるトランスミッションは7速マニュアル(MT)と2ペダルの7速PDK。PDKは大きく効率アップを図った結果、燃費性能は最大で12%アップし、13.5km/リッターの燃費を実現する。
前後サスペンションの形式は従来と変わらない。が、そのセッティングはパワーアップに合わせて改められた。今回のマイナーチェンジで、全モデルに標準装備となるポルシェ・アクティブサスペンション・マネージメントシステム(PASM)は、従来よりも車高を10mmローダウンさせ、カレラ4Sでは20mmローダウンとなる。
組み合わせるブレーキにも変更が加わった。フロントは新開発の大型対向4ピストンキャリパーと6mm厚くなったディスクを装備し、ブレーキパッド面積も17%拡大した。さらにカレラ4Sではディスク径が20mm拡大、ブレーキパッド面積も16%拡大し、運動性能向上に備えドライビングダイナミクスをアップさせている。
エンジンを換装した新型のパフォーマンスを紹介すると、カレラ4の0-100km/h加速が4.3秒。カレラ4Sが3.8秒となり、初めてカレラシリーズが4秒を切った。なお、最高速度は前者が292km/h、後者305km/hである。
新型911カレラ4Sクーペのボディサイズは全長×全幅×全高4499×1852×1298mm、ホイールベースは2450mm。車重は7速PDK搭載車で1490kgとなっている。(編集担当:吉田恒)