【MotoGP最終戦】バレンシアGP J・ロレンソ今季7勝目 逆転で年間王者に

2015年11月09日 12:32

バレンシアGP

タイトルを手にしたJ・ロレンソ

 11月8日、2015年のMotoGP第18戦バレンシアGPの決勝が行われた。バレンシアGPの舞台となったリカルド・トルモ・サーキットは、タイトな低速コーナーが連続するテクニカルなコース。ハードブレーキングを要することや、左右のコーナー数に差があることからタイヤへの負担も大きいタフなサーキットだ。

 このバレンシアGPは今季の大一番となった。最終戦まで年間チャンピオンが決定せず、ポイントリーダーのバレンティーノ・ロッシと2位のホルヘ・ロレンソ(共にモビスターヤマハMotoGP)のポイント差は最終戦を残して僅か7ポイント。果たしてどちらがチャンピオンを獲得するか――ただでさえ目の離せない展開だが、今回はさらに混沌とした先の読めない状況でスタートすることとなった。前戦マレーシアGPでのV・ロッシとM・マルケスの接触事故に対して、V・ロッシの危険行為ライセンスに3ポイントが科されたためだ。これによって、V・ロッシは最後尾(26番グリッド)からのスタートとなってしまった(ミザノGPでも危険行為として1ポイント課されており、合計4ポイント)。

 これに対しポイントランキング2位のJ・ロレンソは予選で一番時計を出してポールポジションを獲得。年間チャンピオンを争う二人がポールポジションと最後尾からスタートというなんとも劇的なシチュエーションで決勝を迎えることとなった。

 雲一つない快晴の空の下、気温23℃、路面温度29℃のドライコンディションで迎えた決勝、抜群のスタートでホールショットを決めたのはJ・ロレンソだった。26番グリッドからのスタートとなったV・ロッシもスタートダッシュに成功し、オープニングラップで一気に順位を15番手まで上げた。

 レース序盤から、安定した走りで先頭を引っ張ったのはJ・ロレンソ、これにマルク・マルケス(レプソルホンダ)、ダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)が続いた。後方からの追い上げを余儀なくされたV・ロッシは2周目以降もごぼう抜きを見せて順調に順位を上げていった。

 3周目には、4番手を走行中のアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)が激しく転倒してリタイア。後方のV・ロッシは着実にポジションを上げていき、10周目には6番手まで浮上、13周目にはアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)を捕らえ、4番手まで追い上げた。

 だが、ここから先の差はなかなか縮まらない。後方からの追い上げとなり、多数のバトルを繰り返しながらポジションを上げてきたV・ロッシだが、その分マシンへの負担も大きく、先を行くJ・ロレンソ、M・マルケスのペースには及ばない。先頭を行くJ・ロレンソは安定した走りながらハイペースでレースを引っ張っており、その差は徐々に開いていった。

 レース終盤、若干差のついていた3番手走行中のD・ペドロサが突如ペースを上げ、J・ロレンソとM・マルケスと猛追。残り2周、29周目にはD・ペドロサとM・マルケスと接触ギリギリのバトルを展開したものの、順位は変わらなかった。

 結局、最終戦は最初から最後までトップを守りきったJ・ロレンソが制した。2位はM・マルケス、3位にはD・ペドロサが入り、地元スペイン勢が表彰台を独占した。26番グリッドからスタートし、猛然と追い上げたV・ロッシは最終的に4位フィニッシュとなった。

 この結果、1位にJ・ロレンソには25ポイント、4位のV・ロッシには13ポイントが付与され、J・ロレンソが合計330ポイント、V・ロッシが合計325ポイントとなり、J・ロレンソが5ポイント差で2015年MotoGPの年間チャンピオンの栄誉を手にした。

 J・ロレンソにとっては2012年以来、最高峰クラスでは3度目のチャンピオン獲得である。

 シーズン序盤から中盤まではV・ロッシの好調ぶりが目立ち、チャンピオン獲得への期待も高まっていた今季だが、シーズン中盤からはJ・ロレンソ、M・マルケス、D・ペドロサなどのライバルが復調し、終盤に向けて激戦となった。マレーシアGPのV・ロッシとM・マルケスのアクシデントについては、V・ロッシとそのファンにとっては後味の悪いものとなってしまったものの、J・ロレンソとV・ロッシのチャンピオン争いの手に汗握る展開は最後の最後までファンを興奮させた。

 今季のMotoGPはこれで終了だが、各チームはバレンシアに留まり、すぐに来季の準備に取り掛かる。来季はブリヂストンタイヤが撤退し、ミシュランタイヤのワンメイクになる他、全チーム共通ECUの導入が予定されるなど、レギュレーションも大きく変わる予定だ。

 今季のレースは終わったが、来季へ向けてチームもライダーも走り始めている。来季はどんなレースを見せてくれるのか、今から楽しみでならない。(編集担当:熊谷けい)