【MotoGP第13戦】サンマリノGP 混乱のレースを制しM・マルケス今季4勝目

2015年09月14日 10:06

GPサンマリノ

スリックタイヤで勝負に出て今季初の表彰台を勝ち取った2位のB・スミス

 2015年9月13日、MotoGP第13戦サンマリノGP決勝が開催された。レースの舞台となったのはミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリ。低速コーナーから高速コーナーまで多彩なコーナーを持つテクニカルなサーキットで、また海風の影響を受けやすい。

 今回のレースはサンマリノGPとなってはいるものの、このサーキットはイタリア・ミサノ市に位置し、現在ポイントリーダーであるバレンティーノ・ロッシ(モビスターヤマハMotoGP)の生まれ故郷の近くでもある。そのため特に多くのロッシファンが詰めかけることでも知られており、スタンドはロッシカラーのイエローが目立った。

 黒い雲が重く立ち込める中、気温27℃・路面温度31℃のドライコンディションで決勝はスタートした。ホールショットを決めたのは予選でポールポジションを獲得したホルヘ・ロレンソ(モビスターヤマハMotoGP)。それに予選2番手のマルク・マルケス(レプソルホンダ)、予選3番手のV・ロッシが続いた。

 ドライレース、全員がスリックタイヤで挑んだ決勝だが、スタート直後に雨が落ち始めた。降り始めた雨は6周目になっても止まず、コースはウェットの状態に一転。これを受け6~7周目に続々と各マシンがピットインし、ウェットタイヤを装着したマシンに乗り換えた。一斉ピットインとなったためピットレーンは混雑、J・ロレンソとM・マルケスが接触しかけるなど混乱状態となった。

 9周目にはこの混乱も落ち着いたが、その時点でトップに立ったのはM・マルケスだった。2番手にJ・ロレンソ、3番手にはV・ロッシ、4番手にはスリックタイヤのままマシンに乗り続けたブラッドリー・スミス(モンスターヤマハテック3)が続いた。

 レース10周目にはM・マルケスの隙をついてJ・ロレンソがトップを奪取。13周目にはV・ロッシも先頭争いに加わり、14周目にはV・ロッシがM・マルケスを抜いて2番手に浮上、17周目にはV・ロッシがJ・ロレンソを交わしてトップに立った。

 この頃には混乱が落ち着いたかに見えたが、波乱はまだ待ち受けていた。レース中盤にはコース上の雨は上がり始め、コースも乾いてきたのだ。この状況でいち早く動いたのがロリス・バズ(フォーワードレーシング)。14周目にピットに入り、誰よりも早く2度目のマシンを交換に踏み切った。

 路面状況は刻々と変わり、スリックタイヤのマシンが圧倒的に速いペースで走る展開となったため、17~18周目にはライダーが続々ピットインしマシンを交換。1レースで2度のマシン交換という稀に見る状況にレースはますます荒れた。

 スリックタイヤのマシンに乗り換えたライダーが後方から追い上げる中、先頭グループで真っ先に動いたのはM・マルケス。18周目にピットインしてマシンを交換した。だが、モビスターヤマハの2台はなかなかピットには入らず、ウェットタイヤでペースが上がらないままレースを続行。J・ロレンソは20周目、V・ロッシは21周目でようやくピットインしてマシンを交換した。

 2度目のマシン交換で順位が大きく変動し、M・マルケスが再びトップに立った22周目、マシンを乗り換えた直後のJ・ロレンソはスリップして激しく転倒。リタイアを余儀なくされた。

 この大混乱となった今回のレースを制したのは今季4勝目となるM・マルケス。2位はマシンを一度も乗り換えず終始スリックタイヤで勝負に出たB・スミス、3位は1度目のマシン交換直後に転倒したものの、すぐにレースに復帰し粘りの走りを見せたスコット・レディング(EG 0,0 Marc VDS)。B・スミスはMotoGPでは自身2度目、S・レディングは自身初となる表彰台を獲得した。

 また、4位にはいち早く2度目のマシンを交換したL・バズ、V・ロッシは5位という結果だった。今回のレースでは天候の変動によるタイヤチョイス、およびマシンの交換のタイミングが大きくその結果を分けることとなった。

 ポイントランキングはV・ロッシが247Pでトップ。今回リタイアしたJ・ロレンソ(224P)との差を23Pに広げた。また優勝したM・マルケスは184PでV・ロッシとの差を63Pまで詰めた。

 予想外の雨に振り回され大波乱となった今回の決勝では、今シーズン序盤は不調だったM・マルケスが冷静な走りと判断力を見せて快勝。二人のイギリス人ライダーが表彰台に上り、L・バズも自己最高位を獲得するなど、全く先の読めない手に汗握る展開となった。

 今季も残すところあと5戦、終盤に差し掛かったところで予想外の混乱が待ち受けていた。次戦は9月27日のアラゴンGP。V・ロッシとJ・ロレンソのチャンピオンシップ争いは少し差がついたものの、逆転は十分に可能。また、今回のサンマリノGPのように波乱の展開となれば伏兵ライダーが大きく進出してくる可能性もある。今季は最後まで目の離せないレースが続きそうだ。(編集担当:熊谷けい)