9月27日、MotoGP第14戦アラゴンGPが開催された。決勝の舞台となったモーターランド・アラゴンは2009年に開設された新しいサーキット。反時計回りで高低差が激しいのが特徴で、ライダーの技量が大きく問われるサーキットである。
今回のアラゴンGPで注目されたのはやはりチャンピオンシップ争いを繰り広げるモビスターヤマハMotoGPのバレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソの二人。また、予選でJ・ロレンソと共に圧倒的な速さを見せ、ポールポジションを獲得したマルク・マルケス(レプソルホンダ)の走りにも注目が集まった。
空は快晴、気温23℃、路面温度39℃のドライコンディションでスタートした決勝、ホールショットを決めたのはJ・ロレンソだった。2番グリッドから抜群のスタートで前に出たJ・ロレンソはそのまま逃げを打った。
一方ポールポジションスタートのM・マルケスはやや出遅れてスタート直後は3位に後退。すぐに巻き返しを図り2番手に浮上したものの、J・ロレンソを追いかけ始めた矢先の2周目にスリップして転倒。レース序盤でまさかのリタイアとなってしまった。
M・マルケスが姿を消したことによって、先頭を行くJ・ロレンソは独走状態。安定した走りで2番手以降に十分なアドバンテージを保つ安定した走りで一人旅となった。
これとは裏腹に激化したのがダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)、V・ロッシ、アンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)の2番手争いだった。レース中盤はJ・ロレンソが悠々と先頭を行く中、2番手にD・ペドロサ、3番手にV・ロッシの状態で推移したが、D・ペドロサとV・ロッシの差は僅か。V・ロッシがいつ仕掛けるかがこのレースの見どころとなった。
3番手のV・ロッシが勝負に打って出たのはレースも残り5周の19周目。コーナーでV・ロッシが一瞬前に出たものの、クロスラインでD・ペドロサがV・ロッシを封じ込め再び2番手を死守。この手に汗握る攻防戦は最終ラップまで幾度も繰り広げられた。
最終ラップでは、V・ロッシがD・ペドロサを完全に抜き去って一瞬2番手に立ったかのように見えたが、その直後にD・ペドロサが猛プッシュ。D・ペドロサは一歩も退かぬ接触をも恐れない超強気のプッシュでV・ロッシに競り勝ち、2位でフィニッシュした。
なお、このレースを制したのは2位以下を全く寄せ付けず、安定した走りを見せたJ・ロレンソ。3位はV・ロッシ、4位はA・イアンノーネ、5位にはアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)、6位にアレイシ・エスパルガロ(チームスズキエクスター)という結果だった。
今季6勝目となるJ・ロレンソは25Pを獲得し249P。チャンピオンシップでトップに立つV・ロッシ(263P)との差を14Pに縮めた。
今回のJ・ロレンソの優勝とM・マルケスのリタイア、さらにD・ペドロサが2位を死守したことによって、チャンピオンシップの行方はV・ロッシとJ・ロレンソに絞り込まれた。チャンピオンシップでトップに立つV・ロッシは依然として有利ではあるものの、2位のJ・ロレンソとは僅差であり、その行方は全く予想できない。V・ロッシが逃げ切るのか、それともJ・ロレンソが逆転するか、今季残り4戦からはますます目が離せなくなった。
次戦は10月11日、ツインリンクもてぎで行われる日本GP。V・ロッシとJ・ロレンソのチャンピオンシップ争いはもちろん、ワイルドカードで参戦する日本人ライダーの活躍にも期待が高まる。
また、ツインリンクもてぎはM・マルケスが得意とするサーキットで、昨季はここでM・マルケスの年間チャンピオンが決定している。V・ロッシとJ・ロレンソのチャンピオンシップ争いの行方だけでなく、今季いまいちパッとしないM・マルケスが得意のサーキットで一矢報いることができるのか、ここにも注目したい。今年の日本GPも楽しみの多いレースになることは間違いないだろう。(編集担当:熊谷けい)