MotoGP第15戦日本GP D・ペドロサが難コンディションを制して今季初優勝

2015年10月12日 07:45

日本GP

難コンディションでスタートした決勝

 10月11日、MotoGP第15戦日本GP決勝レースが行われた。決勝の舞台となったツインリンクもてぎは、全長4,801mのストップ&ゴーサーキット。エンジンとブレーキの高い性能とドライバーの技量が求められるコースだ。日本GPは例年シーズンの終盤に開催され、その結果がチャンピオンシップに大きく影響するため、注目度の高いGPでもある。

 モビスターヤマハMotoGPのバレンティーノ・ロッシとホルヘ・ロレンソがチャンピオンシップを賭けて激戦を繰り広げている今季、今回の日本GPの結果がその行方を大きく左右するとあってファンの注目度も特に高くなっていた。

 2015年日本GPは予選からV・ロッシとJ・ロレンソが互いにレコードを塗り替える大接戦。J・ロレンソが僅か0.081秒の僅差でポールポジションを勝ち取るという熱いバトルが繰り広げられており、決勝でもこの二人の接戦が予想された。

 決勝当日は朝から雨。午後には勢いは弱まったものの弱い雨が降り続き、また霧が出るなど非常に不安定な天候であったためMoto3クラス、Moto2クラスはスタートが遅れ周回数も減らされた。MotoGPクラスは予定通り行われたものの、非常に不安定なコンディションで決勝を迎えることとなった。

 気温19℃、路面温度21℃のウェットコンディションで行われた決勝、好スタートを切ったのは2番グリッドスタートのV・ロッシだったが、3コーナーでJ・ロレンソが先頭に立った。3番グリッドスタートのマルク・マルケス(レプソルホンダ)はオープニングラップで6番手まで後退。対して6番グリッドスタートのダニ・ペドロサ(レプソルホンダ)は4番手に浮上した。

 J・ロレンソは序盤からハイペースで2番以降を徐々に引き離し、レース前半はJ・ロレンソが単独トップでレースを引っ張る展開となった。

 弱雨の難しいコンディションもあり、決勝レースはコースオフ、転倒リタイアが続出。5番グリッドからスタートしたアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)も11周目にマシントラブルでリタイアを喫した。

 J・ロレンソは単独トップで安定した走りを見せており、このまま強さを見せつけるかに思われたが、レース中盤になると様相は一転。11周目に4番手走行中のD・ペドロサが3番手のアンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ)を抜いて3番手に浮上し、前を行くモビスターヤマハのV・ロッシとJ・ロレンソを猛烈な勢いで追い上げ始めたのだ。

 レース前半はトップを快調に飛ばしていたJ・ロレンソだが、コンディションの変化によるタイヤへのダメージもあり、なかなかペースが上がらない。この頃には雨はほぼ止んでおり、サーキットの走行ラインは乾き初めていた。このタイミングでD・ペドロサは2番手のV・ロッシとの差を一気に詰め、16周目にはV・ロッシを抜いて2番手に浮上、18周目にはトップのJ・ロレンソを抜いてトップに立った。

 さらに残り5周の20周目、J・ロレンソがコーナーで膨らんだ隙を突き、V・ロッシが2番手に浮上、J・ロレンソは3番手となった。

 結局このレースを制したのは今季初優勝となるD・ペドロサ。D・ペドロサは2011年・2012年シーズンの日本GPでも優勝しており、得意とするホンダのホームサーキットで2014年チェコGP以来となる久しぶりの勝利を上げた。

 2位はV・ロッシ、3位はJ・ロレンソ、4位はM・マルケス。また、ワイルドカードで参戦した中須賀克行(ヤマハファクトリーレーシング)は8位、高橋巧(チームHRC with Nissin)は12位でレースを終えている。

 日本GPの結果、ポイントリーダーのV・ロッシが283ポイント、J・ロレンソが265ポイントとなり、その差は18ポイントに開いた。優勝こそならなかったものの、V・ロッシは年間チャンピオンの座を引き寄せた形だ。

 J・ロレンソにとってはV・ロッシの後塵を喫する形となった日本GPは痛い結果ではあるが、18ポイント差はまだまだひっくり返せない差ではない。

 MotoGP2015年シーズンもいよいよ終盤。残り3戦となったが、まだまだ何が起こるかわからない。次戦オーストラリアGPの行われるフィリップアイランド・サーキットはV・ロッシの得意とするサーキットである。ここでV・ロッシがその強さを見せつけて年間チャンピオンの座を大きく引き寄せるのか、それともJ・ロレンソが意地を見せてそれを阻止することができるのか、次戦は今季の大一番になると言ってもいいだろう。

 また、今季は不調に思われたD・ペドロサも第14戦アラゴンGPから絶好調。V・ロッシとJ・ロレンソのチャンピオンシップ争いにこのD・ペドロサの順位が大きく影響する可能性もある。年間チャンピオンの行方が最終戦までもつれ込む可能性もある今季、残り3戦は今まで以上に熱いバトルが繰り広げられることは間違いないだろう。(編集担当:熊谷けい)