北米の排ガス規制不正逃れ問題により、企業イメージと実績を大きく落とすこととなったドイツの自動車大手フォルクスワーゲンだが、その一方、同社と世界首位の座を争い続けている日本のトヨタ自動車<7203>が業績を伸ばし、同社との差を広げつつある。27日、トヨタ自動車は2015年1~10月のグループ世界販売(ダイハツ工業<7262>と日野自動車<7205>を含む)を発表。それによれば、前年同期比1.2%減の835万3000台という結果であり、1~9月時点でのフォルクスワーゲンとの差を、さらに約9万台広げた。
1~10月のトヨタ自動車は、中南米やヨーロッパなどの市場では前年を下回ったものの、ガソリン安によりアメリカ市場で商用車が好調に推移したことが寄与して、海外販売は同0.5%増の653万台。国内販売は軽自動車税の増税の影響もあって、同7.0%減の182万3000台。全体では同1.2%減の835万3000台という結果ではあったが、1~9月時点でフォルクスワーゲンとの間に生じていた差は、約6万台から約9万台に広がった。
10月単体で見てみると、グループの世界販売は同1.7%増の85万5000台。ガソリン安により販売が好調な北米は同12.4%増と大幅に業績を伸ばし、全体をけん引した。中国を含むアジア市場は同0.4%減ではあったものの、1~10月で見てみると同0.4%増と微増。しかし、タイやインドネシアは市場の落ち込みが影響して、1~10月で約20.0%近いマイナスとなった。
フォルクスワーゲンの1~10月のグループ世界販売は、同1.7%減の826万2000台という結果であり、北米の排ガス規制不正逃れ問題が発覚した9月は同1.5%減であったが、10月にはいって問題の影響が本格的に現れ始め、10月は同3.5%減の83万1300台という結果であり、業績の落ち込みが顕著となった。ただし、同社の主力市場である中国では、減税効果などもあり9月の0.8%減から、10月は同1.6%増とプラスに転じている。
トヨタ自動車がフォルクスワーゲンとの差をさらに広げる形となったが、フォルクスワーゲンも中国市場では好調さをみせている。さらに2社以外にもアメリカのゼネラル・モーターズの販売も好調に推移していることから、どのメーカーが年間販売首位となるかはまだまだわからない状態だ。(編集担当:滝川幸平)