IDC Japanは、国内IT市場産業分野別 企業規模別の2015年上半期(1月~6月)の実績と2015年~2019年の市場規模予測について発表した。
PC更新需要や大手金融機関等の大型案件でIT支出を伸ばした2014年の反動を受け、2015年の国内IT市場は前年比成長率0.1%と、ほぼ横ばいとなる。産業分野別にみると、通信/メディアおよび消費者を除き、すべての産業がプラス成長を見込んでいる。特に銀行、製造業、小売業、運輸業、サービス業が堅調なIT支出を2016年以降も維持すると予測をしている。
大企業(従業員規模1,000人以上)の2015年のIT市場規模は7兆655億円で、前年比成長率1.0%、2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は2.0%を見込み、引き続き大手企業が国内IT支出をけん引するという。一方、他の企業規模と比べ成長が鈍化するのが小規模企業(1~99人)で、2015年の前年比成長率がマイナス0.5%、2014年~2019年のCAGRは1.2%を予測している。消費税増税対応や、円安による原材料価格高騰の影響を受け、業績が減速する小規模企業が増加していることを反映している。
中堅企業(500~999人)の2015年の前年比成長率は大企業と同じ1.0%、中小企業(100~499人)は0.8%とプラス成長を見込んでいる。2016年以降、中堅中小企業の業績回復に伴い、システム更改のほか、新規のシステム案件が増加するとみている。ユーザー調査で各社に質問したITの活用領域は、中小企業では「社内情報の共有と有効活用」や「業務プロセス改革」の回答率が高く、中堅企業では「生産性の向上」のほか、大企業と並び「ビジネスモデルの変革」の回答率が高い結果となった。
また、従業員1,000人以上の大企業の経営層がIT部門に出す指示には、第3のプラットフォームや、IoTなどのイノベーションアクセラレーターの領域での取り組みが含まれ、さらに産業ごとに傾向が出る結果となった。IDC Japan ITスペンディング マーケットアナリストの岩本直子氏「ITベンダーは、産業ごとのトレンドとユーザー企業のテクノロジーニーズを迅速に捉え、ユーザー企業の市場競争力を高めるためのパートナーとなるべきである」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)