15年の国内IT市場規模は14兆7,150億円、前年比成長率はマイナス0.1%

2015年08月10日 08:21

 IT専門調査会社 IDC Japanは、2015年第1四半期(1~3月)の実績、および最新の景気動向などに基づき2015年~2019年の国内製品別IT市場予測を発表した。

 これによると2015年の国内IT市場規模は、14兆7,150億円、前年比成長率はマイナス0.1%と予測した。国内IT市場を構成する国内ハードウェア市場、国内ITサービス市場、国内パッケージソフトウェア市場の2015年の市場規模と前年比成長率は、それぞれ6兆6,135億円、マイナス3.1%、5兆2,827億円、1.8%、2兆8,188億円、4.2%と予測。国内IT市場に国内通信サービス市場を加えた国内ICT市場の2015年の市場規模は25兆4,415億円、前年比成長率はマイナス1.0%と予測した。

 2015年の国内IT市場は、前年の国内IT市場の成長を押し上げたPC市場が大幅なマイナス成長となるものの、スマートフォン市場が前年のマイナス成長からの反動でプラス成長となる上、円安による平均単価の上昇が影響し、ほぼ横ばいを予測した。

 また、国内IT市場の2014年~2019年の年間平均成長率(CAGR: Compound Annual Growth Rate)は1.2%、国内ICT市場のCAGRはマイナス0.1%と予測している。2019年の国内IT市場規模は15兆6,057億円、国内ICT市場規模は25兆5,868億円と予測します。第3のプラットフォーム市場における2013年~2018年のCAGRは5.6%、第2のプラットフォーム市場はマイナス2.6%と予測した。

 2015年の国内IT市場成長率が、PCの大幅なマイナス成長にもかかわらず横ばいとなる原因は、景気回復に伴う戦略的IT投資の増加よりも、円安に伴うハードウェアの平均単価の上昇による効果の方が大きく、特別にIT市場全体の成長を支えている製品が存在しているわけではないという。

 ユーザー企業も、IT支出に積極的なのは円安効果の恩恵を受けた一部の大企業にとどまっており、国内全体では戦略的IT支出に必要な環境がいまだ整っていない。IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は「ITベンダーはより中期的観点から、国内のユーザー企業が事業成長にITを活用するには、何が足りないのかを分析し、経営面を含めた総合的な観点からソリューションを確立していくべきである」と分析している。(編集担当:慶尾六郎)